きのこの日。 雨が降っていたので、息子を塾へ送って行った。 塾の迎えまでは時間があるため、ショッピングセンターをうろうろしたあと、本屋さんへ。 児童書コーナーで4歳くらいの男の子が何冊かの絵本を並べて「困ったなぁ、選べないなぁ」と呟いていた。どうやら1冊だけ本を買ってもらえるようなのだが、なかなか1冊に絞れないため、悩んでいるようだった。お父さんらしき人が男の子の背後から「どれか選びなよ」と声をかけ、また違う棚を眺めていた。男の子は声に出して「困った」を何度も繰り返していたため、思わず声をかけてしまいそうになったが、グッと堪えた。自分で悩んで悩みぬいた一冊が一番いい思い出になりそうな気がしたのだ。もしもあまり面白くなくてすぐに忘れてしまうような内容だったとしても、悩んだ思い出だけきっと残る。本の内容より背景が思い出になることは多々あるのだから。 スーパーへ行くと、スーパーの外に赤ちゃんが乗