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  • 永遠の愛なんて存在しない。 - 地底たる謎の研究室

    題名:永遠の愛なんて存在しない。 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 人によって好みは異なる。僕が顔を見上げ、その存在を認識した時から、僕の中で、クミちゃんは輝きだした。それまでにも、彼女は受付にいたはずだった。でも、始めて、何かが結びついている、そう思えたのはなぜ、なんだろうか。それを実感した日以来、クミちゃんの存在は、僕にとって特別になった。“豊かでなめらか、そして温かみのある声”。どうしようもなく僕の心は震えた。 そういえば、シズコもそうだったのかもしれない。その声の音色に自然と共鳴してしまう。それは、その声は、僕にとって一種の音楽の様でもあるからかもしれない。 好きな人が、好きな人の存在が、人によって好みがあるように、好きな音楽は、その音色によって人によってかなり異なる。でも、人からの印象や、音楽からの印象は、心に根差す深いものがある。 自分にとって大事なものは、年を

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  • 軍の命令 - 地底たる謎の研究室

    題名:軍の命令 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 人をかばうことが無駄骨な部署だった。毎月毎月、誰かが倒れ、そして補充される。生き残った者のみに勝利があり、勲章がある。今や勲章のあるサメジマさんと言えども、心の中では僕に対して音では(働けよ、お前はよー)だろうことも予想できた。誰もが倒れた僕に視線が冷たかった。そう、誰かが倒れれば、誰かがその仕事をカバーしなければいけない。かつての僕はそうだった。誰かの損失のカバーをしていた。でも、今や自分自身がカバーできなかった。リ・カバリーできなかった。 戦場で銃に打たれたものは生きるか、死ぬかしか選択がない。それが軍の命令。 ころしゅて、ぼきゅは、ぐんじんになっちゃんだ。 ソファーから起き上がり、会社のエレベータまで向かった。1Fのボタンを押し、フロアまで下った。いつもよりも、やけにその時間が長いように感じた。 フロアに着き、正面ま

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  • ぼきゅがやったんだ - 地底たる謎の研究室

    題名:ぼきゅがやったんだ 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 自宅近くの駅に着いた。相変わらず僕の冷汗は止まらなかった。他人から見ると、僕の顔面はかなり蒼白していたに違いなかっただろう。まるで、今すぐにでも倒れる病人のように。 駅を出てふらふらと路地を歩きながら、いつもの3倍の時間をかけて家まで向かった。家の前までくると、自分の家が真っ暗だった。その暗闇の向こうから、その雰囲気はさっきの地下鉄のトンネルの奥底を思わせた。何かがいる。家には何かがいる。まるで僕の家の中ではないようだった。 玄関の扉を開け、玄関内に立つと真っ暗のまま、しーんとした音が耳をつんざいた。何もない時もしーんという音が響いている。その時、僕は感じた。ここには、家には、がいない。 「シズコ。ただいま」 何も聞こえない。応答がない。リビングに向かい、電気をつけた。そこにもいない。の部屋に入り、電気をつけた

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  • 何かが欠けている - 地底たる謎の研究室

    題名:何かが欠けている 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 その行為が地球の飢餓を救え。となったのかは分からない。分からないというより地球よりも自分の飢餓を救った。そういうことになる。 「それで、わたしには作ってくれないの? チキンラーメン。お腹空いてるけど…」 「でも、もう袋がないんだ。すでに残っていた1袋の賞味期限が切れていたから、それを僕がべたんだ」 「ふ~ん。そうなんだ」 自分勝手な行為に、は少し不満そうだった。そして、ギューッと腕をつかまれた。思いっきり握られる。痛い、結構圧迫されている。手先の血流がトド凍りそうな、そんな冷たさを手先に感じた。トドが凍るなんて、あの難局に住んでいるトドが凍りそうなんて。これは南極だ。絶対的な南極的な難局だ。 「いたいよ…。しょんなにあっぱくしゅたらいたいよ…」 「タケヒサさん。すみません」 うっすらと瞼を起こすと、そこには若い看

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  • 鎖に繋がれた世界 - 地底たる謎の研究室

    題名:鎖に繋がれた世界 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 もう一度、一からやり直そう。自分なりに…と、こぶちゃんと約束した。しかし、結果的に死刑宣告となった。僕にはもう残されていない。こぶちゃん、ごめんね。そういう言葉しか、他に思いつかなかった。 死刑執行の日。目の前には仰々しい椅子があった。そこに座るように促され、僕はじっと目を凝らす。執行人から僕の目にマスクが覆いかぶされる。じっとしている。じっと。 その後、首筋に強烈な電が走った。僕はふっと意識を失い、そのままうなだれ…た。 その時、娘が僕の首筋にカニのハサミを突き当てていた。強烈な電にハッと目が覚めた。目の前にはニコニコと微笑んでいるの希子がいた。 希子:「のぶちゃん。随分、ぐっすり眠っていたね。疲れていた? いい夢見れた?」 僕:「うん、まあ…」 希子:「どんな夢だった?」 僕:「宇宙人と交信していたんだ…」 希

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  • それを受けることができるか? - 地底たる謎の研究室

    題名:それを受けることができるか? 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 にやりとしながら、僕の前を徘徊していたそのMoon人は、ある音を境に急に姿勢を正した。そして、奥の方を向いて敬礼をした。奥からは、独特なコツコツ音が聞こえてくる。そして、その音がだんだんと大きくなった。するとそこには別のMoon人、それはツキオだったが、が目の前に現れた。ツキオは牢屋を一瞥し、 ツキオ:「どうや、ノブヨシくん。牢屋の生活は…。 でもな、悪く思わんでくれ。殺ラクダ罪に問われとるさかいに、君は…。 というか、間違いなく殺ラクダ罪やけんどもな。でもな、当は、わいはな、何となく分かっとんねん。 それとも…というか… あれは、君とこぶちゃんの間の、暗黙の了解やったんやろ」 僕は静かに頷いた。 ツキオ:「やっぱりそうか…」 「ノブヨシくん。残念だわ… 後ろから声がした。振り返ると、そこにはキーコさん

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  • もう一度この世界 - 地底たる謎の研究室

    題名:もう一度この世界 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 研ぎ澄まされたかのように思える意識とは裏腹に、僕はすべての感受性を失っていた。ぼーっとして、暗闇の中で、忘我して佇んでいた。浮遊していた。こぶちゃんとの夢と希望にあふれたあの記憶も彼方に消失し、僕はこのまま消えてしまってもいい、そう思えた。 僕という存在は、もはや意味をなさない。ここに居て何にも残せてはいない。 僕は、もう。僕には、もう。当に何もなかった。 当に何もないんだ。 ただ、無暗に意識だけが混沌として、僕の傍を横切って、横切っては消失していた。 ラクダ・マこぶちゃん:「そう思えるのも無理はない、信吉。でも、まだ希望はある。まだ、あたいを愛してくれた信吉なら、希望はある。ほら、よく思い出してごらん。あの、あの時の感動を…。信吉。もう一度、よく思い出してごらん。きっと、大丈夫。信吉なら大丈夫。あたいが信じてい

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  • んごぉーと鳴いとるで~ - 地底たる謎の研究室

    題名:んごぉーと鳴いとるで~ 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 館の中は薄暗く、ほの明るかった。そこでは、今にも何かが起こりそうな気配がした。やや狭めの通路の左右の壁にはフランコ・ハバド氏の写真がずらっと飾られ、「我を崇めよ。我こそが想像と創造にあふれるCreatorなのだ」と壁面に書かれてあった。写真にあるその鋭い眼光はいずれもが、ツキオの宇宙船内で見た動画のままだった。 しばらく順路をたどると、輝く部屋が左手に現れた。中に入ると、そこにハバド氏が立っていた。これは旧式の3Dホログラフィだろう。旧式ゆえに、それは明らかに再現された映像であることは理解できる。そこはさっきまでのリアルすぎるキーコさんとは異なっていた。ただ、しかし、立体的に、その眼光をもって演説するそのハバド氏の像は映像は、旧式といえども圧倒されるものがあった。 我がフランコ・ハバド神なり。 我を崇め、そして

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  • あそこも、あそこも - 地底たる謎の研究室

    題名:あそこも、あそこも 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 僕とキーコさんの会話をしり目に、ツキオは相変わらずじーっと凝視して穴が開くんじゃないかというぐらいにキーコさんをガン見していた。いや、凝視よりも、透視か。もしかして心の目で、透かして、すかして、みてんじゃねえーのか。キーコさんの、あそこも、あそこも…。 そう想像しながら、僕も若干ほっぺが真っ赤になった。確かにキーコさんは、魅力的な女性だった。ましてや恋人として特別な関係にあるツキオなら、凝脂な肌を持っているキーコさんなら、その彼の凝視は、GYAO! したくなるに違いない。だって、それは無料だから。ヤフーの無料動画サービスだから。 甘い言葉。無料。無料。諸行無料の響きあり。 その裏には、何かが、潜んでいる。 もしかして、Moon Town自警団の団員でありながら、ツキオにはかなりの変態性が潜んでいるのかもしれない。ど

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  • パンパース的な成長 - 地底たる謎の研究室

    題名:パンパース的な成長 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 (ラクダ・マこぶちゃん:…させちゃう時… (信吉:させちゃう時…) (ラクダ・マこぶちゃん:そうだ、させちゃう時。その時に、お前は輝くはずのだ。ようやく一段登れたCreatorとしての階段を、そのしょぼい足でも、しっかりと、踏みしめ、そうして、転落しないように、させちゃうのだ。皆を虜にさせちゃうのだ。今こそ復活、復活ののろしを上げる時。そうして、得られた、させちゃう時) (信吉:させちゃう時…) (ラクダ・マこぶちゃん:そうだ、我から受けしその啓示は、お前が10歳から20歳に渡るまでの間の貴重な魂の成長の時に、ンゴォォォォォォオオオオオオオオオーーッ!と学んだはずだ。その学びは、まさに、させちゃう時。こぶちゃんブランドを復活、を、させちゃう時。 いいか、信吉。人間の成長なんて、20歳でストップする。なぜなら、身長も

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  • もう、終わったことだった。 - 地底たる謎の研究室

    題名:もう、終わったことだった。 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 生ある中に、その罪が潜んでいる。生きているだけでも罪。そう言ったのは太宰で、堕罪だ。だから、僕は、何度も、母なるトンネルに還ろう、還らなければと意識した。この先の罪を、今のうちに僕自身で摘まなければならない。 (やっぱり、元のトンネルに戻ろうか…)。しかし、それは無駄だった。母との絆もすでにじょきりんとちょん切られ、個体として、すでに僕は、そこに生存していた。 若干、あきらめかけていた時、産科の僕を取り上げてくれた産婆、いや婆というには若すぎるだろうな。産女子ともいえるその方の笑顔に、この月の世界に留まるのもいいのかもしれない、そう考えを改めた。 後々、その産女子が、キーコの母であったことに、僕はその時はまだ知らなかった。でも、その笑顔に、「かわいい男の子ですよ。おめでとうございます」と母に告げているその産

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  • ロケットの積み荷 - 地底たる謎の研究室

    題名:ロケットの積み荷 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 ヴェルヌーブ氏は、フランコ・ハバド氏の最期の願いを載せ、打ちあがってゆくロケットを傍から眺めながら、その周りの星々を鑑賞した。暗い闇に光る星々。Stars (Remastered 2005)。 (やはりこれでEnoか、それでイーノだろうか、結局、ブライアンなのか…) そんな思いをぬぐい去ることができなかった。 ヴェルヌーブ氏:「やはり詳細に検体②のWDについて調べる必要がありそうだ」 ジュニ・ヴェルヌーブ氏は、足早にスペースZ社バージョン5の研究室に戻り、検体②のWDのデータを再チェックした。軽犯罪者と記されているも、器物破損のみで、それほど異常な資質は認められなかった。 ヴェルヌーブ氏:「これならば安心だな」 ただし、データの最後には意味不明の言葉が綴られていた。 {この男WDの象徴として、執着の疫あり。欲望の発出

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  • 執着の疫の象徴 - 地底たる謎の研究室

    題名:執着の疫の象徴 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 ツキオは、Moon Townを、月の世界を、巡回しながらパトロールしていた。近年のMoon Townは、かつてのあの糧難での喧噪も落ち着きを取り戻し、それとともに治安も落ち着きつつあった。パトロールもなかばルーチン化し、ぼーっとしながらでもMoon Town自警団の職はこなせる状況にまで落ち着いた。ただ、ぼーっと職をこなしつつも、まるまる1か月ほど昏睡状態だったツキオは、自分から何かが失われたような気がしていた。刺激のない中で、その感傷に浸るたびに、それが何だったのかを思い出そうとするたびに、治安の落ち着きとは反対に心の落ち着きがなくなりそうになっていた。 (わいには何があったんやろか。思い出そうとしても大事なとこが抜けとる気がするで。でも、まっ、ええか。もうすぐキーコに逢えるから。うれしいはぁー。めっちゃ興奮しとる

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  • すべてが欲望 - 地底たる謎の研究室

    題名:すべてが欲望 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 ダン・ダオッコ博士は、仕事に対してはいつも厳格な対処で臨んでいた。今回のツキオの実験に対しても、自分なりの研究者としての勝算があると見込しての実施であった。ただ、思ったよりも新たな記憶装置のシンクロ率が異常なほど高くなり、それ自体は実験の偉大な成功でもあった。が、一歩間違えるとツキオくんは廃人になっていた。若干の変化を除いては…。 ダオッコ博士は、改めて記憶操作の難しさに痛感させられた。でも、何はともあれ、ツキオくんの記憶のキーが見つかったことには間違いない。 白いドラゴン。 それ自体が何を意味するのかは、ツキオくんの経験による。でも、このキーをもってすれば、そこまで至った経験の、記憶の多くの謎を、現在保存されているデータを介して開くことが出来る。ダオッコ博士は、密かに喜んでいた。刑罰に値しなかったのは幸いであったが、こ

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  • 父がダミー - 地底たる謎の研究室

    題名:父がダミー 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 死神にとりつかれた僕は、もはやイケメンではなかった。ブラピではなくなっていた。キーコと居る幸せが、僕をブラピなりに輝かせていたが、次第に迫る僕の劣等感で、耳元でキーッキーッキーッと音が聞こえた。 恐怖、恐怖…、そして自分を呪った。 真夜中の徘徊者となった僕は、その呪いが、キーコにも降りかけているかのようだった。 やっぱり僕は、第3世代の呪われた特別の子。それが、僕が16歳になるまで知らなかった僕の暗黒の歴史だった。キーコと一緒に過ごすようになってから、忘れかけていた歴史を少しずつ思い出していた。 第2世代から第3世代へと移り変わる中で、フランコ・ハバド氏はまたも実験を施した。地球の子種を月の世界に輸送して、配合させようという実験だった。月の世界の交配の秩序を保つために、そうして、新しい血を注がねばなるまい、それがハバド氏の

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  • 真っ白なベッド - 地底たる謎の研究室

    題名:真っ白なベッド 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 その部屋に入ると異様な雰囲気に包まれた。ダオッコ博士の特別の秘密の部屋とでも言うべき魅力に満ち溢れ、部屋の中央には真っ白なベッド、そしてそれを囲むように奇妙な形状をした機器類。そこに目をこらすと、その機器類が何か呼吸をしているかのような奇妙な律動性をも感じられた。 部屋の奥に進むにつれて、中央の真っ白いベッドが以前から用意されていたかのように、形状をくねくねと変化させ始めた。最終的に落ち着いたベッド形状は、まるでそこには、すでに僕が横たわっているかのよう。 そう、これはたぶん僕だけのベッド…。 ダオッコ博士:「じゃぁね、ツキオくん、そこのベッドに横になってもらえるかしら…」 そこでのダオッコ博士は平然な様相を装っていた。でも、その言いぶりから感じられる妙な空気感は、僕の野性的なカンゆえなのかは分からないものの、ダオッコ

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  • 心の揺れ - 地底たる謎の研究室

    題名:心の揺れ 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 ツキオ:(あー、僕は生きている。生きているんだ。キーコと一緒に) キーコ:「ツキオ。素敵だったよ…。大好き…」 その後、Floatingしながら、Floating with youしながら、幽体離脱したあの瞬間を思い出す、そうして、ふと、彼女を覗くと、僕にしか見せない笑顔。いや、その赤く頬を染めた顔には、満足そうな表情が見えた。 Demo、僕だけだろうか。この顔を知っているのは…。この調べを知っているのは…。僕以外にもいるんじゃないか…。僕以外にも…。きっと、そう、そうに違いない…。 そうして、また、あの音がする。 キーッキーッキーッ、と車輪が回り、恐怖が蘇る。天井裏から僕たちを見ているあの染みは、次第に顔に変わってゆく。キーッキーッキーッ。もう回らないで、これ以上、車輪を回さないで。お願いだから。 口に感じる血の味が、キー

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  • 幸運のスコップ - 地底たる謎の研究室

    題名:幸運のスコップ 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 動画を見ても、フランコ・ハバド氏が何を言っているのか、理解できなかった。動画のセリフ自体に、何か口外しないように、できないように、分かりにくい味つけ的な暗号がなされているのであろうか。 ハバド氏:「Creatorの特権。それは世界を変えられるということだ。だから、ちみには、無理かもしれない。永遠に無理かもしれない。Analyzerとして、ぶーたれとるだけやからな。でも、諦めるでない。そう言えたのは、かつてちみのもとにこぶちゃんというラクダが、そばにいたからだ。でも、ちみは、それを葬った。葬ってしまったのだ。ただし、その月の土にこぶちゃんを葬った際のスコップを地球に持ち帰ってくれたおかげで、我々は偶然にも偉大な発見をすることができた。それが月の、静かの海にあった、香料メランジ。抗老化作用があることも発見できたあの香料だ。

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  • ペルニクス - 地底たる謎の研究室

    題名:ペルニクス 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 僕:「冥王星と土星の間?」 (すい・きん・ち・か・もく・どってん・かいめい。とすれば、冥王星と土星の間には、てん・かい。転回。コペルニクスだ) 僕:「コペルニクスでしょうか?」 Moon人:「おっ、君。結構さえてるやん。なかなか。ええとこついとる。そや、コペルニクス。ついでに、君。コペルニクスって10回言うてみ」 僕:「コペルニクスコペルニクスコペルニクス….コ・ペルニクス」 「10回目もなんも変わらんやろ。だから、それは解、いわゆる冥土と違うっちゅうこっちゃ」 「正解はなんでしょうか?」 「そんな簡単に言うか。どあほ」 (もしかして、どってん・めいかい? 確か、冥王星はすでに太陽系の惑星ではなく、準惑星の位置づけになったはず。だから、てん? てん、か?) 「てん、でしょうか?」 「ちご。 、なーんもおもろないやん。それっ

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  • デューン計画 - 地底たる謎の研究室

    題名:デューン計画 報告者:ダレナン 物語は、この物語の続きです。 5・4・3・2・1・0、発射。そうして、僕とこぶちゃんの月世界への旅立ちが始まった。スペースZ社の開発したロケットは順調に、そしてスムーズに月まで向かった。まさに、完璧だった。「ただいま、燃料タンクを切り離します」、「月がどんどんと大きくなってきています」、「静かの海が見えました」、「ただいまから、着陸船で着陸します」。どどどーん。着陸。月の土を踏む。こぶちゃんと歩く。流星にあたる。こぶちゃん死ぬ。着陸船に戻る。もう一度、月の土。スコップで穴掘る。埋める。着陸船に戻る。眺める。交信する。 僕:「CQ、CQ。こちらJH9WO7。たった今こぶちゃんを埋葬しました。どーぞ」 地球の管制塔:「何がありましたか。どーぞ」 僕:「こぶちゃんが流星にあたり、死にました。どーぞ」 地球の管制塔:「そうでしたか。それは残念です。どーぞ」

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