厚みのある両手で相手の手をしっかり握り、相手に自分の後頭部が見えるまで、深々と頭を下げる――。 これが、野田新首相流のあいさつだ。 首相指名選挙を終えた30日午後。野田氏は国会内で、各党の党首へ就任のあいさつを行ったが、同席した国会議員、職員まで一人一人に頭を下げて回った。 千葉県船橋市で、政治とは無縁の家庭に生まれた。「地盤も看板もカバンもない」状況で、県議、国会議員となったが、1996年の落選で3年8か月もの浪人生活を送った。野田氏の徹底した低姿勢は、これまでの労苦と無関係ではない。 だが、海千山千の各党の党首らは、野田氏に注文や批判を浴びせた。 国民新党の亀井代表は、「あんた(首相になると)いい顔になるもんだな」「オーラが出てきたよ」と持ち上げ、野田氏も「元々、いい顔じゃないんで」と恐縮する場面があったが、これより前の与党党首会談では、「あんたは『増税』というレッテルを貼られ過ぎだ」