出だしのバタフライは予選より0秒24遅いタイムと抑え気味に入る。続く背泳ぎで2位に上がり、迎えた平泳ぎが勝因となった。ここで加速し、自身の持つ日本記録を樹立したときより2秒近く速いタイムで泳ぐ。平泳ぎはその得手不得手で差がつきやすいだけに、ここで2位以下に大きなリードを得た。 ターンして迎えた最後の自由形も、その入りから積極的な泳ぎを見せて、今シーズンのベストのタイムを記録する。追い上げを許さず、1着でタッチした。 初めてのオリンピック出場であった。それを思わせない堂々たる泳ぎだった。 「自分がオリンピックチャンピオンになったんだとうれしさがある一方、正直まだ信じられない気持ちがいっぱいです」 コーチである平井伯昌氏の存在の大きさ 会心のレースからすると意外なことに、今シーズンは苦しい時間を過ごしてきた。昨年末の日本選手権を体調不良で欠場し、五輪代表選考のかかった今春の日本選手権は痛み止め