ブックマーク / courrier.jp (79)

  • 米紙が紹介する「東京の老舗居酒屋」の魅力 それは都市の“本来の姿”を映しだす場所 | 日本酒のみの名店、安くてウマい大衆居酒屋…

    米国人ジャーナリストの筆者が、20年以上前に出版されたガイドブックを頼りに、東京の伝統的な飲文化を体現する居酒屋や寿司店へ向かう。そこには、彼の愛する芸術や文学作品に描かれたままの東京の姿があった──。 2022年12月、私は3年ぶりに東京にやってきた。この驚くべき大都市で、まず最初にどこで事と酒を楽しむべきだろうか? 答えは決まっている。1948年以来、変わらぬ木造の建物で営まれている、ひっそりとした佇まいの居酒屋、伊勢藤(いせとう)だ。 神楽坂の細い路地を歩き、入り口の引き戸を開ける。店主が少し待つようにとこちらに声をかけ、カウンター席の一角を片付けた。連れのいない4人の先客が、物思いにふけるようにしっぽりとカウンター席で酒を飲んでいる。隣接する畳敷きの小上がりからは、2組のカップルが小声でおしゃべりする声が聞こえる。 魚を塩水に漬けて発酵させた「くさや」が焼かれ、恐ろしい臭いを店

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  • 仏紙が唸る「数学を世間に広める能力で、時枝正にかなう者はいない」 | 直感の逆を突き、驚かせ、人の未知への欲求を刺激する

    スタンフォード大学の教授で数学者の時枝正(ときえだ・ただし)は、「おもちゃ」を使って数学や物理の定理を解き明かす。スープ皿や木のレール、大きなコインを手に、「ショー」とも呼べそうな講義をいかにも楽しげに始めるその姿に、聴衆は一瞬にして心を惹きつけられるという。 数学者には二つのタイプがいるという──。一つは、チョークを握り黒板に向かう、理論派タイプ。もう一つは、フェルトペンとホワイトボードを使う、どちらかというと応用数学系の人である。 その伝でいうと、時枝正は第三のタイプの数学者である。しかもこの第三のタイプは、世界広しといえども彼一人だけの可能性がある。 時枝は仕事道具をどれも煎の空箱から取り出すのだが、箱は「すべて同じブランドのもの」なのだそうだ。たとえばその中身は、見かけはそっくりなのに、転がるものと転がらないものがある二つの不思議な構造物。ひもや輪ゴム、クリップの扱い方は、まるで

    仏紙が唸る「数学を世間に広める能力で、時枝正にかなう者はいない」 | 直感の逆を突き、驚かせ、人の未知への欲求を刺激する
  • 世界初公開! あの「ロールシャッハテスト」はこうやって制作されていた | スイスの谷間の小村にある小さな印刷所で…

    世界的に有名な心理学の投映法検査「ロールシャッハテスト」がどう作られているのかなど考えたことがあるだろうか? これまで非公開だったその制作過程を世界で初めて撮影することが許された英国人の芸術家ジェレミー・ミラーが、決定的な条件のもとで取材記事を書いた──。 1世紀以上にわたり複製され、何百万もの人々に凝視されてきたイメージのわりに、ロールシャッハのインクブロット(インクの染み)はかなり謎に包まれている。 厳重に保護され、かつすぐに見分けがつくこの有名なカードは、心理学的診断のために世界中で使われ続けている。新版は5年ごとくらいにしか印刷されず、その過程を記録することを許された者はいまだかつていない。だから、その過程を記録できないかと出版社に問い合わせたときも、まさか了承してくれるとは予期していなかった。 条件がもちろんいくつかあった。なかでも最も厄介だったのが、ロールシャッハのインクブロッ

    世界初公開! あの「ロールシャッハテスト」はこうやって制作されていた | スイスの谷間の小村にある小さな印刷所で…
  • 「自慰」は古代ギリシャで“真の男”がすべきものではなかった! | マスターベーションの古代史

    自慰(マスターベーション)の位置づけに社会の性道徳が如実に反映されるのは、古代から変わっていないようだ。人間の肉欲に関心がある考古学記者が、古代ギリシャの自慰問題を掘り下げる。 自慰行為は、われわれ人類が握手することを見出すよりはるか昔からずっと存在してきた。それが信じられないなら、われわれに最も近縁な動物であるチンパンジーをご覧あれ。 だがここで論じたいのは、動物界で起こっていることではない。代わりに、人間のひとりセックスの刺激的な歴史を掘り下げてみよう。 聖なる自慰 自慰が創造の行為だった文明もいくつかある。たとえばシュメール人たちは、水の神エンキが射精して、チグリス川とユーフラテス川を創ったと信じていた。 古代エジプト人たちはややその上を行っていた。神のオーガズムをある種の「ビッグバン」と考えていた。というのも、アトゥム神のせわしない手が、宇宙の創造と、最初の二神である空気の神シュー

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  • 米紙の疑問「なぜ日本には架空の世界の生き物がこれほど存在するのか?」 | 新たな「妖怪」が生まれる小豆島

    河童や座敷わらしからトトロまで、日人は古来から妖怪と慣れ親しんできた。米紙「ニューヨーク・タイムズ」は瀬戸内海に浮かぶ小豆島で行われたユニークなコンテストを取材。日独自の豊かな妖怪文化とその背景に迫っている。 今の時代にふさわしい妖怪を 日の小学生なら誰でも河童を知っている。頭にギザギザ模様のついた、カエルやカメのような妖怪だ。油断していると川に引きずり込まれ、溺れる羽目になるかもしれない。真っ赤な顔と長い鼻がトレードマークの天狗は、森の奥深くに潜んでいる。タヌキは、魔力を使えるアライグマみたいな動物で、道で出くわすと化かされるかもしれないので、要注意だ。 こうした、いたずら好きで、ときに恐ろしくもなる、日の昔話に登場する化け物は、まとめて「妖怪」と呼ばれている。かつては、夜中の物音や消えた料、雨風による家屋の損壊といった怪現象を説明する役割を担っていた。今では、日人の共有する

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  • 英紙が指摘「日本経済は出口のない『異次元緩和』から抜け出せない」 | 日銀・植田新体制が「現状を維持するしかない」理由とは

    植田和男氏が日銀の新総裁に就任し、金融緩和政策の動向に国内外から注目が集まっている。著名な経済ジャーナリストのマーティン・ウルフは、超低金利政策とイールドカーブ・コントロールは継続せざるをえないと指摘。その理由を英経済紙の論考にまとめている。 日銀行総裁が黒田東彦から植田和男に交代したいま、日は極端な金融緩和政策を放棄するだろうか? 答えは「ノー」のようだ。 現行の金融緩和政策は超低金利政策とイールドカーブ・コントロール(YCC)に支えられている。植田新総裁は就任の記者会見で、この「2柱」の継続は理にかなっていると強調した。では、これらに固執したことも妥当だったのだろうか? 筆者の答えは「イエス」だ。 最もそれは、2023年4月5日付の紙「フィナンシャル・タイムズ」で同僚のロビン・ハーディングが論じていたように、「リスクがないから」ではない。これに代わる施策にも、リスクがあるからだ

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  • 行動遺伝学者ロバート・プロミン「子供の成功には、親も学校もあまり関係ありません」 | 「何冊本を読み聞かせても読解力に影響は出ない」

    私たちは自分で自分の遺伝的資質に合わせている ──DNAによって私たちの性格が形作られていることに関心を持ったのはなぜですか。 人生を振り返ってみたとき、分岐点のような瞬間があったと考える人は多いですよね。私はシカゴの中心街で育ちました。大学がどんなところなのか知る人は、家族にはいませんでした。大学に進学すれば奨学金がもらえると進路指導の担当者に教えてもらい、これは良い話だと考えてテキサス大学に出願したんです。 そのときは、この大学が行動遺伝学を必修科目とする世界唯一の大学だとは知りもしませんでした。ですが、「生涯を通じて行動遺伝学に取り組みたい」と思うようになるまで時間はさほどかかりませんでした。 クラスには30名ほどの学生がいましたが、行動遺伝学を面白がっていたのは私だけでした。おそらくそれは私の性格によるものでしょう。私は主流に歯向かうのが好きです。心理学にとって、遺伝は重要だと私は

    行動遺伝学者ロバート・プロミン「子供の成功には、親も学校もあまり関係ありません」 | 「何冊本を読み聞かせても読解力に影響は出ない」
  • ハーバード大の幸福研究者が教える「幸せな人生を送るための習慣」 | 大切な人たちと好きなことに打ち込もう

    世界で最も長く続けられてきた幸福研究が、あるとき意外な可能性を示唆した。良好な人間関係を築いている人は、健康な状態を維持できるという。1980年代当時、研究者はこの結果に半信半疑だった。 ハーバード大学成人発達研究所の責任者、ロバート・ウォルディンガー博士(72)は言う。 「心と体はもちろんつながっています。しかし人間関係が良好だと、なぜ冠動脈疾患や関節炎を発症しにくくなるのでしょう? 人間関係が生理機能に影響を与えるなんてことが果たしてあるのかと、かつては疑問に思われていました」 成人発達研究所は、幸福に関する大規模な調査研究を85年も続ける。その後、他の研究でも同様の結果が示されるようになり、この発見の重要性が認知された。 ウォルディンガーは、マーク・シュルツ博士と共同執筆した新著『グッドライフ:世界最長の幸福実験でわかったこと』(未邦訳)でも、人間関係とその改善法に焦点を当てている。

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  • 米国で「リベラルアーツ大学の死」が始まった 英文学も歴史学も資本主義に抗えず | 80校以上が閉鎖または合併の憂き目に

    米国でリベラルアーツ大学の衰退が著しい。 つい最近も2月にバージニア州のメリーマウント大学が、英文学や歴史学、哲学、社会学などの専攻をなくすことを決めた。全部で10の専攻が削減されたが、そのほとんどがリベラルアーツだ。 これらの学問は人気がなく、専攻する学生が少ないからだという。講義科目としては残るが、専攻したりその学位を取得したりすることはもうできなくなる。 メリーマウント大学だけではない。 高等教育について報じるメディア「ハイアー・エド・ドライブ」の調べによれば、米国では2016年以降、87校ものリベラルアーツカレッジが閉鎖、あるいは近くの大きな大学に合併された。 死に絶える要因は二つある

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  • オランダの若き天才数学者が考える「子供たちが“算数嫌い”になってしまう本当の理由」 | 難問を解くより「重要で効果的な勉強法」とは

    オランダ・デルフト工科大学のステファン・ボイスマン准教授(27)は言う。 「数学を書いていると話すと、『数学なんてみんな嫌いなのに、なぜそんなを書くんですか?』とよく聞かれます。かく言う私も、高校時代はもちろん大学でもグラフや公式が大嫌いでした。なぜこんなものが必要なのかと、自問自答したものです」 ワッツアップで使われている数学について説明する、ステファン・ボイスマン。15歳でオランダのライデン大学に入学し、天文学、コンピュータサイエンス、数学、哲学などを学ぶ。20歳のときにスウェーデンのストックホルム大学で博士号を取得

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  • 高性能チャットボット「ChatGPT」を支える“劣悪な労働搾取”を米誌がスクープ | 時給は最高2ドル。残虐な動画を検閲し続ける…

    トラウマを残した「労働搾取」 米「タイム」誌がテクノロジー業界の闇を暴き、大きな話題になっている。 問題となっているのは、高い文章生成能力が注目される、AI搭載チャットボットの「ChatGPT」。その生みの親であるAI企業「オープンAI」がパートナー企業を通じ、時給2ドル以下でケニア人労働者を雇っていたことがわかったのだ。 オープンAIはマイクロソフトから100億ドルの出資を受ける可能性が報じられるほど、いまもっとも注目されている企業だ。いったい何が起きているのか。 オープンAIが外注先として依頼していたのは、米サンフランシスコに拠点を置くサマ社。同社はケニアやウガンダ、インドの人材を雇い、グーグルやメタ、マイクロソフトなどの顧客向けに、有害なネット情報を選別する「データのラベリング作業」を実施していたという。 ケニア人の労働者たちは、データのラベリング作業の過程で、処刑や性的虐待など極め

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  • 言語学習アプリのトップを独走する「デュオリンゴ」が思い描くパンデミック後の戦略|クーリエ・ジャポン

    迷走? 改悪? 物議を醸した大型アップデート 8月23日、それはトビ・フォンズにとって忘れるはずもない1日となった。夕後、彼は日課になっている言語学習アプリ「デュオリンゴ」でフランス語を勉強しようとスマートフォンを取り出した。よくフランスに行くので、このアプリでフランス語を学べば、現地でクロワッサン・オ・ジャンボン(ハム入りクロワッサン)や生ビールをフランス語で注文できるというわけだ。 「これをください、と指でジェスチャーしなくてもよくなるでしょう」と、50歳のオランダ人でITコンサルタントのトビは言う。 トビは「バベル(Babbel)」や「ブスー(Busuu)」をはじめ、いくつもの言語学習アプリを試してきたが、レッスンの楽しさでデュオリンゴの右に出るものはないという。楽しいので、まったく苦にならないそうだ。トビとマリサは、連続400日以上かけて1つのレッスンを修了した。トビとマリサは

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  • 今年こそは改善したい「ダメな会議にしてしまう8つの悪習慣」 | 1つでも当てはまったら要注意!

    仕事の愚痴といえば「会議が多すぎる」が上位を占めることが多い。しかし、会議そのものに問題があるとしたらどうだろう。企画者や出席者が、会議を必要以上に悪化させているとしたら? リーダーシップの専門家であるケン・オーケルは、「学校では会議を成功させる方法を学ばないことが問題だ」と言う。 下記に紹介するのが「会議を妨害する8つの悪い習慣」だ。これからミーティングを設定したり、参加したりする前に、次の8つのうちの1つでも当てはまってしまうものがないか、考えてみてほしい。 ①タイミングが悪い ドキュメントアプリを開発している「Coda」が実施した職場調査によると、朝のミーティングが従業員の生産性を下げている可能性があることがわかった。 レポートによると、回答者の3分の2以上が自分は朝型人間だと考えているとのことだ。毎日の会議への参加が、従業員の重要な時間を邪魔してはいけない。その代わりに、午後のミー

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  • 米紙の疑問「悪名高い掲示板『4chan』の管理人“ひろゆき”はなぜ日本で人気者なのか」 | 厳格な規則に抑圧を感じる若い人々の心を掴んだ

    米国に、陰謀論や人種差別、さらには銃乱射事件などを引き起こす“問題のWebサイト”がある。旧「2ちゃんねる」開設者のひろゆきが管理人を務める、英語圏最大の匿名掲示板4chan」だ。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」が「ひろゆきは、日の若者の不満の声を代弁し、スターになっている」と報道。海外から、彼はどう見えているのだろうか。全訳を掲載する。 ひろゆきが語ろうとしないこと 日社会の欠点に意見を述べる彼のソーシャルメディアは、何百万人というフォロワーを集める。日最大級のファッションショーのランウェイに現れたかと思えば、政府作成の動画に出演して人々に個々の財政への注意を促す。ある全国調査では、高校生が選ぶ総理大臣候補の第一位もこの人物である。 日の厳格な規則に抑圧を感じる若い人々の心を掴んだ西村博之は、日国内では驚くほどの有名人だ。有名実業家、作家、コメンテーターとしていたるところに顔

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  • 王族やセレブに仕えて年収数千万円、ナニーの名門養成校をのぞいてみたら… | おむつ替えから、誘拐犯撃退スキルまで習得

    王族やセレブの子供の世話や教育を担当するナニーを育てる名門校がイギリスにある。ロックスターのミック・ジャガーや元男子プロテニス選手のロジャー・フェデラーも同校の卒業生を雇ったという噂も。このたび米紙が同校に密着取材し、授業風景や校則など、その学生生活についてを報じている。 おむつ替えから、誘拐犯撃退まで幅広い技術を学ぶ同校の卒業生は「メリー・ポピンズとジェームズ・ボンドの組み合わせ」とも評され、数千万円の年収を得ているという。 引くてあまた、1人につき求人7件 講義は午前9時半きっかりに始まる。 車道から校名入りのアーチ型の門をくぐり、講義と実習で長い1日を過ごす学生たちが整然と列に並んで登校する様子が館の北向きの窓から見える。髪型は軍隊級に正確に統一され、後頭部に向かってなでつけられている。 制服は、ツイードのブレザー、白い手袋、ベージュのワンピースに茶色の山高帽。世界有数の歴史と権威

    王族やセレブに仕えて年収数千万円、ナニーの名門養成校をのぞいてみたら… | おむつ替えから、誘拐犯撃退スキルまで習得
  • 独学の思考法 | 第1章 読書で満足しているあなたへ

    を読めば読むほど知識が身についているような気がするかもしれません。しかし実際のところ、単に読書をするだけでは独学の効率が落ちてしまう──『独学の思考法』の著者である山野弘樹さんはそう語ります。全10章の講義を通して、当の学びに繋がる読書の方法を解説します。 山野 弘樹  1994年、東京都生まれ。2017年、上智大学文学部史学科卒業。2019年、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(比較文学比較文化分野)修士課程修了。現在、同大学院博士課程、および日学術振興会特別研究員DC1、「東京大学共生のための国際哲学研究センター(UTCP)」リサーチ・アシスタント。専門は哲学(とりわけポール・リクールの思想)。2019年、日哲学会優秀論文賞受賞。2021年、日仏哲学会若手研究者奨励賞受賞。「哲学の知と実社会を繋ぐ」という理念のもと、哲学の〈意義〉と〈魅力〉を世に幅広く発信することをラ

    独学の思考法 | 第1章 読書で満足しているあなたへ
  • アメリカ人がいちばん後悔している「大学の専攻」はやっぱり“あの分野”だった | 5人に2人が自分の選択を後悔

    アメリカの大学(2年制大学を含む)を卒業したおよそ5人に2人が、自分の専攻を後悔していることがわかった。 アメリカが金融危機後の大不況から抜け出せていなかった2011年、当時のオバマ大統領は一般教書演説でSTEM教育(STEMは科学・技術・工学・数学の頭文字をとったもの)の重要性を訴えた。以来、アメリカでは芸術・人文科学系学部の卒業生が激減している。 2021年の連邦準備制度理事会による調査では、自分の専攻を後悔している人は人文科学系で最も多く、その割合は卒業生の48%だった。一方、そうした人が最も少なかったのが工学専攻で、後悔していると答えたのは24%に留まった。 このデータが取られ始めた2016年以降、数字にそれほど大きな変化は起きていない。だが、後悔している人が比較的少なかった教育学では、パンデミック後の2021年になって、後悔していると答えた人の割合が平均以上にまで増加した。反対に

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  • 貧しい家の子でも、金持ちの子と友達になれば、将来は稼げる大人になれる | 最新研究で「階級を越えた友情」の恩恵が示される

    最新研究で「階級を越えた友情」の恩恵が示される 貧しい家の子でも、金持ちの子と友達になれば、将来は稼げる大人になれる 高校時代に裕福な家庭の子と友人になったことが助けになったと語るマリ・ボウイ  Photo by Marissa Leshnov/The New York Times 貧しい家庭に生まれた子供は大人になってからも経済的に苦しむ可能性が高い──。いわゆる貧困の連鎖であり、そこから抜け出すのは簡単ではないと言われてきた。 だが8月1日に科学誌「ネイチャー」に掲載された最新の研究で、その貧困のループから脱却するカギが示された。貧しい家に生まれても、裕福な家の子と友達になることだ。 研究対象となったのは25~44歳のアメリカ人の84%にあたる7200万人で、この手の研究では最大規模。彼らのフェイスブック上の交友関係を分析したところ、貧しい家に生まれた子供でも、貧困層と富裕層のつながり

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  • ジョナサン・ハイトが解き明かす「アメリカ社会がこの10年で桁外れにバカになった理由」 | 「現代のバベルの塔」はいかにして建設され、崩されたのか

    アメリカという「現代のバベル」 崩壊後のバベルに生きるというのはどんなものだろう? 創世記には、ノアの子孫たちがシナルの地に巨大な都市を建設したと記されている。彼らは自身らの「名を高めるため」に、「頂上は天まで届く」塔を建てた。神は人間の傲慢に腹を立てて言った。 「見よ。彼らは一つの民であり、一つの言葉だけをもつ。そしてこれは、これから彼らが為すことの始まりに過ぎないのだ。今や、彼らが為そうとすることで不可能なものはなくなった。さあ、下界に降り、彼らの言葉を乱そう。彼らが互いの言うことを理解できなくなるように」 聖書の文に記述はないが、この物語の有名な解釈の多くでは、神が塔を破壊したことになっている。そこで、この劇的な場面を心に描いてみよう。人々は互いにコミュニケーションを取ることができず、互いの無理解を呪い、廃墟の中を彷徨うのだ。 このバベルの物語は、2010年代のアメリカで起きたこと

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  • 「小児性愛者を狩ってSNSに晒す」グループに、3年間所属してわかったこと | 私刑を下す背景にある心理は

    小児性愛者をSNSを使ってあぶり出し、ストリーミングなどで晒し上げる「小児性愛者狩り」をする一般市民のグループが世界にはあるのだという。子供を狙った性犯罪は、どんな理由があろうと許されないものだ。だが私刑とも言えるこの活動は正義と言えるのだろうか? 実際にこうした「狩りグループ」に所属していたという筆者が、3年間のうちに学んだこととは。 SNSで狩りをする あなたがこの記事を読み終えるまでに、子供への性犯罪が少なくとも1件は報じられていることだろう。アメリカ国内では子供への性犯罪が9分に1回発生していて、イギリスでは7分に1回に近づきつつある。 子供に対する性的虐待は社会に蔓延するおぞましい犯罪だ。だがこれは、容疑者を捕まえればそれで解決するような問題ではないと警察も認めている。 子供への性犯罪は、社会病理といってよいくらい根深い問題だ。ジミー・サヴィル、ジェフリー・エプスタイン、ラリー・

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