1936(昭和11)年、“昭和維新”を目指す20~30代の陸軍青年将校たちが兵士約1500人を率いて首相官邸などを襲撃し、高橋是清蔵相や斎藤実内相らを殺害した「2・26事件」から26日で87年となる。「日本近現代史最大のクーデター未遂事件」はその後の日本にどんな影響を及ぼしたのか。そして現在へとつながる教訓とは何か。近現代史の第一人者であるノンフィクション作家の保阪正康さん(83)と、高橋蔵相と2・26事件を描いた戯曲「火の殉難」を執筆した気鋭の劇作家、古川健さん(44)に論じてもらう。 保阪正康さん「軍事主導確立したテロの恐怖」 1930(昭和5)年の浜口雄幸首相狙撃事件以降、2・26事件が起きる36年までテロとクーデターの未遂、既遂が10件以上あった。その最終的な出来事が2・26事件だった。つまり暴力の総仕上げだった。 この事件で日本の軍事主導体制が確立した。青年将校があれだけのことを