沖縄県の尖閣諸島をめぐり、中国や台湾が領有権を主張する際に根拠として示している有力資料の一つが、尖閣諸島ではなく台湾島の東南の島について記されたものであることがわかった。長崎純心大の石井望准教授(漢文学)が17日、国会内で会見し発表した。 中国や台湾は、尖閣諸島は台湾の一部と主張。根拠の一つとして、18世紀に清の政府高官が記した『台海使槎録(たいかいしさろく)』に「釣魚台」の記述があり、これは尖閣諸島だとしている。石井氏は9月、台湾当局が1970年に作成した地理書『台湾省通志』に『台海使槎録』が引用され、「釣魚台」が台湾島の東南の島として記述されている箇所があることを見つけたという。 石井氏は「尖閣諸島ではなく、台湾東南の別の島のことだと台湾当局が認めていた」と指摘。会見に同席した長尾敬・自民党外交副部会長らは、今後こうした資料を日本政府が対外発信で活用するよう働きかけていく考えを示した。