島根県・隠岐諸島産の食材が、関西の居酒屋や回転ずしのチェーン店で扱われ始めている。豊かな自然と生産者のまじめな仕事ぶりで高品質なのに、知名度はいまいち。そんなPR下手な島の背中を押したのは、1個のサザエだった。 2年前。隠岐の島町職員の橋本博志さん(43)は、地元の特産品を県外に売り込む「ブランド推進係」だった。大阪出張の折に1人ぶらりと、居酒屋チェーン、志(し)な乃(の)亭グループの「漁師の宴 十三(じゅうそう)店」(大阪市淀川区)に入った。都会の店のバイヤーと知り合いになるノウハウがなく、悩んでいた。 カウンターの水槽のサザエが気になった。表面に、隠岐産で見慣れたトゲがない。トゲには日本海の荒波に流されないよう岩場にひっかかる役割があるとされ、穏やかな海ではトゲのないサザエが多いという。
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