■ インフレは恐ろしいもの、楽観は禁物 黒田氏は、来年の物価見通しについて「2%を割るのは確実」と発言している。フォワードガイダンスという方針があるとはいえ、この状況で、日銀トップがこうした断定的予想を行うのはかなりリスキーと言ってよいだろう。 8月の消費者物価指数の内訳をみると、4月段階と比較してエネルギーの寄与度が下がり、食品や耐久消費財の寄与度が上がった。つまり今年の春までの物価上昇は、昨年から年初にかけてのエネルギー価格の上昇が大きく影響したが、夏以降の物価上昇はそうではなく、食品や工業製品など全体的なコスト上昇の影響が大きくなっている。 しかも、春以降急ピッチな円安が進んでいるため、円安の効果が本格的に物価に反映されてくるのはこれからであり、年末から年始にかけては円安の影響が大きくなると予想される。 幸いなことに(幸いかどうかは何とも言えないが)、米国の中央銀行にあたるFRB(連