2月1日に死去した石原慎太郎元東京都知事について報道各社は賛美ばかりの追悼特集を展開した。その日のNHK「ニュース9」ではキャスターたちが喪服風の黒基調の装いをしていたことには驚いた。客観性を重んじるはずの公共放送のやることだろうか。 一方、元知事の生前のおぞましい差別発言の数々については、全く触れない記事も多く、触れていても「直言ぶりで知られる」「自由な発言に注目も」「時には差別と糾弾され」といった、半ば差別発言を容認するような表現が目立つ。 どうして差別を差別とストレートに批判しないのか。書いていて、頭に血が上り、タイプする指が震えるほどの怒りに襲われないのか。それは書く側の多くが、元知事の差別のターゲットにされていない人たち、つまり日本で生まれ育った日本人で、障がい者でも性的少数者でもなく、女性でもない、つまり特権を持ったマジョリティーの一員だからではないか。 元知事が差別主義者であ