「ケイザイ」とはつくづくやっかいなものである。そこでは、さまざまなことが原因となってさまざまな現象が起きる。しかし、現実には、その原因と結果はスパゲッティのように複雑に絡み合っているので、その因果関係を科学的に明確な形で認識ないし実証するのは難しい。そのため、相互に矛盾する多種多様な考え方が、いつまでも対立しつつ併存し続けることになる。 実際、「日本の不況の原因とは何か」とか、「日本経済の低迷を克服するには何が必要なのか」といった、われわれにとって最も切実で基本的な問題についてさえ、論者の見解の相違は甚だしい。日本の経済情勢と同様に、日本の経済論壇も、議論はますます混迷し、拡散し続けているのである。 とはいえ、ものごとには限度というものがある。いくら経済論議に白黒をつけるのは難しいといっても、これほどまでの混乱を放置していていいはずはない。要するに、ちょっと冷静に考えてみれば、その誤りや矛
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