12月8 伊藤宣広『ケインズ』(岩波新書) 6点 カテゴリ:政治・経済6点 同じ岩波新書に伊東光晴『ケインズ』があるにもかかわらず、同タイトルで重ねてくるというチャレンジングな企画。 内容としては、対独賠償問題、イギリスの金本位制復帰、大恐慌といった問題と、それに対してケインズがどのように考え、提言を行ったのかということをたどるものになっています。 個人的には勉強になる部分も多かったですが、タイトルはズバリ『ケインズ』ではなく、『時代と闘うケインズ』みたいなものがよかったかもしれません。なぜなら、本書は必ずしもケインズの考えをわかりやすく解説するものではないからです。 本書には「合成の誤謬」という概念を軸にしており、その叙述がわかりにくいということはないのですが、例えば、本書を読むと、「乗数効果」をケインズがいつ頃からとり入れたのかはわかりますが、「乗数効果」がどのようなものかはよくわ