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ブックマーク / blog.livedoor.jp/yamasitayu (53)

  • 伊藤宣広『ケインズ』(岩波新書) 6点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月8 伊藤宣広『ケインズ』(岩波新書) 6点 カテゴリ:政治・経済6点 同じ岩波新書に伊東光晴『ケインズ』があるにもかかわらず、同タイトルで重ねてくるというチャレンジングな企画。 内容としては、対独賠償問題、イギリスの金位制復帰、大恐慌といった問題と、それに対してケインズがどのように考え、提言を行ったのかということをたどるものになっています。  個人的には勉強になる部分も多かったですが、タイトルはズバリ『ケインズ』ではなく、『時代と闘うケインズ』みたいなものがよかったかもしれません。なぜなら、書は必ずしもケインズの考えをわかりやすく解説するものではないからです。  書には「合成の誤謬」という概念を軸にしており、その叙述がわかりにくいということはないのですが、例えば、書を読むと、「乗数効果」をケインズがいつ頃からとり入れたのかはわかりますが、「乗数効果」がどのようなものかはよくわ

    maturi
    maturi 2023/12/22
    本書によれば、『一般理論』の意義は、失業問題の原因を労働市場ではなく、金融市場の投機にあること、失業の原因は賃金の高さではなく有効需要の不足にあることを指摘し、市場が不完全雇用均衡状態に陥ってしまう可
  • 賀茂道子『GHQは日本人の戦争観を変えたか』(光文社新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    7月13 賀茂道子『GHQは日人の戦争観を変えたか』(光文社新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 副題は「「ウォー・ギルト」をめぐる攻防」。GHQが終戦直後に行ったとされる「ウォー・ギルト・プログラム」を扱ったになります。 この「ウォー・ギルト・プログラム」については評論家の江藤淳がとり上げたことで世に知られました。江藤は戦後民主主義の「自由」な言論空間が実はGHQによる検閲と洗脳によってつくられたということを『閉ざされた言語空間』で主張しました。 ただし、江藤は評論家ですし、たまたま目にした資料からこの政策について論じており、その実態はどうだったのか? どの程度の影響力があったのか? といった疑問は残ります。  書は、アメリカが日人のどんな戦争観を問題視し、どのようにアプローチしようとしたかを分析し、「ウォー・ギルト・プログラム」の実態を明らかにしようとしています。 江藤の主張

    maturi
    maturi 2022/07/14
     スミスと違って、ダイクは日本国民に軍国主義への支持を容認する雰囲気をつくった責任というものを自覚させたいと考えて
  • 武井彩佳『歴史修正主義』(中公新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    11月23 武井彩佳『歴史修正主義』(中公新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 既存の歴史の書き換えを図る「歴史修正主義」(revisionism)、近年この言葉を聞く機会が増えましたし、それが良くないことであるとの認識も広がっています。 ただし、「何が歴史修正主義なのか?」という難しい問題でもあります。ここ最近、織田信長について今までの「革命児」的なイメージが否定され、「意外と保守的で常識的な人物であった」との見方が研究者の間で強まっていますが、今までの歴史の見方を修正するものであってもこれを「歴史修正主義」とは言わないでしょう。 書はこの捉えにくい概念である「歴史修正主義」と、さらにそれを一歩進めた「否定論」(denial)をとり上げ、その問題点と、歴史修正主義と歴史学を分かつもの、ヨーロッパで歴史修正主義の代表である「ホロコースト否定論」がいかに法的に禁止されるに至ったかを紹介し

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    maturi 2021/11/24
    刀剣男子、審神者、歴史修正主義
  • 濱口桂一郎『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    10月19 濱口桂一郎『ジョブ型雇用社会とは何か』(岩波新書) 9点 カテゴリ:社会9点 著者が2009年に同じ岩波新書から出した『新しい労働社会』は、ここ20年程度の中でも非常に大きな影響力をもった1冊で、ここで提示されたメンバーシップ型とジョブ型という雇用のあり方を示す言葉は広く流通するようになりましたし、話題になった筒井淳也『仕事と家族』(中公新書)や小熊英二『日社会のしくみ』(講談社現代新書)も『新しい労働社会』で示された日的雇用の問題を下敷きにしています(ただし、『日社会のしくみ』では著者の『日の雇用と労働法』(日経文庫)や『若者と労働』(中公新書ラクレ)があげられている一方で、『新しい労働社会』は参考文献にあげられていない)。 しかし、一方で著者の考え、特に「ジョブ型」は誤解され続けており、一部(特に日経新聞)では成果型の変形としてこの言葉が使われています。 そんな状況

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    maturi 2021/10/20
  • 菊池秀明『太平天国』(岩波新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月23 菊池秀明『太平天国』(岩波新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 帯には「人類史上最悪の内戦」との言葉が載っていますが、太平天国の乱による死者は江蘇省だけで2000万人を超えるとも言われ、まさに世界大戦に匹敵するような犠牲者が出ています。また、乱が14年近く続いたのも1つの特徴で、同じく清末の反乱として知られている義和団の乱に比べると、その持続性は段違いです(義和団の乱は1年ちょっと)。 書はそんな太平天国の乱の始まりから終わりまでをたどるとともに、そこに中国歴史に繰り返し現れ、現代にも通じている1つのパターンを見出そうとしています。副題は「皇帝なき中国の挫折」となっていますが、単純に太平天国の興亡のドラマを見せるだけではなく、中国の近代や、中国政治や社会そのものを考えさせるような内容です。 目次は以下の通り。一 神は上帝ただ一つ二 約束の地に向かって三 「地上の天国」の実

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    maturi 2021/02/24
    イコノクラスム
  • 一ノ瀬俊也『東條英機』(文春新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月19 一ノ瀬俊也『東條英機』(文春新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 『日軍と日兵』、『皇軍兵士の日常生活』(ともに講談社現代新書)などの著作で知られる著者による東條英機の評伝。生い立ちから処刑までを丹念に描いています。今までのイメージを大胆に覆すという形ではないですが、東條の航空戦への見方を詳しく見ることで「精神主義一槍」的なイメージに関しては多少なりとも修正がなされていますし、父・英教の軍での処遇を詳しくとり上げることで東條のある種の硬直性の背景がうかがえるようになっています。 また、永田鉄山、石原莞爾、武藤章、田中新一と昭和期の陸軍を動かした人物は何人かいますが、十五年戦争を「完走」した人物というと、やはり東條になるわけで、東條を追うことで日が長い戦争に突入し、敗北する過程もわかるようになっています。 目次は以下の通り。第1章 陸軍士官になる第2章 満洲事変と派閥抗争

  • 井手英策『幸福の増税論』(岩波新書) 6点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月2 井手英策『幸福の増税論』(岩波新書) 6点 カテゴリ:政治・経済6点 「幸福の増税論」とは、「税務署がやっている書道作品のキャンペーン(「正しい納税」とか書かせるやつ)でも、さすがにここまでは言わないぞ」というなかなかインパクトのあるタイトルですが、「自己責任社会」から「助け合う社会」への転換を増税によって成し遂げようとする構想を語ったになります。 増税を語るというと、「日の借金は世界一」、「国民一人あたりの借金は~」、「高齢化で社会保障制度が破綻する!」といった形で危機を煽るがほとんどですが、著者はそういったロジックを使わずに、あるべき社会の実現のために増税を説いています。 著者は民進党のブレーンとして政治にも関わり、その後あっさりと民進党が消滅してしまうという悲劇も経験しているのですが、それでもこうしたを書いて変革を訴えており、その信念や誠実さといったものは疑い得な

    maturi
    maturi 2019/12/20
     戦後は減税が中心的に行われ、純粋増税というのはあまり行われてきませんでした。97年の消費税の3から5%への引上も、その前に行われた減税の穴埋めで、2014年の8%への消費税引上は久々の純粋な増税だったといえます。
  • 中野等『太閤検地』(中公新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月31 中野等『太閤検地』(中公新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 日史において中世と近世を分かつのが織豊政権であり、特に秀吉の行った太閤検地と刀狩に代表される兵農分離政策が大きな意義をもったと考えられています。 教科書的な知識だと、太閤検地は統一的な尺度を用いて行われ、また枡も京枡に統一され、土地の収穫量が石高で表されるようになった。戦国大名の行った検地の多くが申告制の指出検地であったのに対し、太閤検地は実際に計測された丈量検地であった、さらに検地帳に耕作者が記入されたことによって中世以来の複雑な土地所有の関係が整理され一地一作人の原則が確立した、といったところでしょうか。 では、この太閤検地は実際にはどのように進められ、どのような影響をもたらしたのか、これが書の内容となります。書を読むと太閤検地が長期にわたって試行錯誤を繰り返しながら行われたことがわかりますし、検地と大名の

    maturi
    maturi 2019/09/01
    故地にあり続けた毛利氏などが例外で、原理的に全ての「国土」は天皇あるいは秀吉の手に帰し、以後江戸時代を通じて大名・給人は在地性を否定された「鉢植え」の領主として存在することになる。世界史的に稀な「封建
  • 梶谷懐・高口康太『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月24 梶谷懐・高口康太『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書) 9点 カテゴリ:社会9点 キャッシュレス社会にシェアエコノミーに信用スコアと、ものすごい勢いでハイテクが普及しつつある中国。その姿はこれからのテクノロジー社会を予見させるようでありつつ、同時に多数の監視カメラや政府によるネット検閲などもあって近未来のディストピアを予見させるようでもあります。 そんな中国社会をどのように考えればよいのか? という問いに向き合ったのがこのです。『なぜ、習近平は激怒したのか』(祥伝社新書)、『現代中国経営者列伝』(星海社新書)などの著作があるジャーナリストの高口康太が、誤解も多い現在の中国テクノロジー社会の状況を紹介し、『「卵と壁」の現代中国論』、『日中国、「脱近代」の誘惑』、『中国経済講義』(中公新書)などの著作がある経済学者の梶谷懐が、功利主義や市民的公共性といった概念を使って中国

  • 紀谷昌彦『南スーダンに平和をつくる』(ちくま新書) 5点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月4 紀谷昌彦『南スーダンに平和をつくる』(ちくま新書) 5点 カテゴリ:政治・経済5点 2015年4月から2017年9月までの約2年半、日の南スーダン大使を著者による、その仕事と日の国際貢献のあり方を論じた。 南スーダン大使という当事者による記録は貴重ではありますが、外務省のプレスリリース的な部分が多く、著者個人の分析があまり出ていないのが少し残念なところ。また、南スーダン情勢に関してもそれほどわかりやすい説明がなされているわけではないので、2016年のジュバ衝突のインパクトや、衝突がなぜ起こって、どのように収拾されたのかといった点はあまり見えてきません。 ただ、やはり当事者の記録や提言には興味深いところもあり、なるほどと思わせる部分もあります。 目次は以下の通り。 第1章 南スーダン問題の構造―現場の視点から 第2章 政治プロセス―国内と国際社会の取り組みの双方を後押し 第3章

    maturi
    maturi 2019/03/19
  • 石原俊『硫黄島』(中公新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月17 石原俊『硫黄島』(中公新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 沖縄に関して、よく「日で唯一地上戦が行われた」と言われます。もちろん、少し考えてみればこのの舞台となる硫黄島も内地なのでこの表現は誤りなのですが、硫黄島の場合はそこに住民がいなかった印象があるので、スルーされてしまうのでしょう。 しかし、硫黄島にも住民はいましたし、そこに社会がありました。硫黄島の戦いを扱ったクリント・イーストウッドの『硫黄島からの手紙』にも栗林忠道が「島民は速やかに土に戻すことにしましょう」と言うシーンがあります(著者はこの言及を評価しつつも「戻す」という表現を問題視している(98-99p))。硫黄島に住民がいなかったという印象は、戦後、住民が帰島を許されずに軍事基地化したことから、いつの間にか出来上がったものなのかもしれません。 このは、戦前の硫黄島社会を再現しつつ、実は住民の一部も巻き込ま

  • 赤川学『これが答えだ!少子化問題』(ちくま新書) 6点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    3月6 赤川学『これが答えだ!少子化問題』(ちくま新書) 6点 カテゴリ:社会6点 2004年の『子どもが減って何が悪いか!』(ちくま新書)で、「男女共同参画社会の推進が少子化を解決するというのはまやかし。男女共同参画社会の推進は別の理由から行われるべき」との主張をした著者が久々に少子化問題の議論の場に帰ってきました。 『子どもが減って何が悪いか!』はリサーチ・リテラシーのとしても良いなのですが、少子化問題の処方箋を出しているではありません。今回の『これが答えだ!少子化問題』も、タイトルから処方箋を期待する人もいるかとは思いますが、それを期待すると肩透かしをくらいます。基的には現在の少子化対策を批判的に検討した上で、その効果に疑問を呈したになっています。 目次は以下の通り。 序章 「希望出生率」とは何か? 第1章 女性が働けば、子どもは増えるのか? 第2章 希望子ども数が増えれば

    赤川学『これが答えだ!少子化問題』(ちくま新書) 6点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
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    maturi 2019/01/04
    高橋洋一先生に全幅の信頼を寄せる赤川先生
  • 清水克行『戦国大名と分国法』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月22 清水克行『戦国大名と分国法』(岩波新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 『喧嘩両成敗の誕生』(講談社選書メチエ)、『耳鼻削ぎの日史』(洋泉社歴史新書y)などで、現代とは異なる価値観を持つ中世の人々のありようを史料を通して面白く描いてきた著者が、戦国大名の分国法を紹介し、その中身と意義を探った。 「結城氏新法度」というマイナーな分国法から始まり、伊達氏、六角氏、今川氏、武田氏の分国法を見ていくこのは、内容、構成、結論とどれをとっても面白く刺激的なものとなっています。 分国法のイメージを一新するとともに、中世の人々の意識や戦国大名のあり方も考えさせる内容です。 目次は以下の通り。 第1章 結城政勝と「結城氏新法度」―大名と家臣たち 第2章 伊達稙宗と「塵芥集」―自力救済と当事者主義 第3章 六角承禎・義治と「六角氏式目」―戦国大名の存在理由 第4章 今川氏親・義元と「今川かな

  • 岡本隆司『世界史序説』(ちくま新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月15 岡隆司『世界史序説』(ちくま新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 新書だけでも、『李鴻章』、『袁世凱』(ともに岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『日中関係』(PHP新書)、『中国の論理』(中公新書)など精力的に著作を発表している著者ですが、今回のタイトルはなんと『世界史序説』。近年、流行しているグローバル・ヒストリーに対し、東洋史の立場から「もう一つの世界史」を提示するという非常に野心的な内容となっています。 正直なところ、著者の描き出す世界史像がどれだけの実証性を備えているものなのかはわかりませんが、地中海→大西洋→グローバルといった形で描き出されることが多い「西洋史」からの「世界史」ではなく、農耕民と遊牧民が混ざり合うユーラシアから描き出された「世界史」は非常に刺激的です。 目次は以下の通り。 はじめに 日人の世界史を 第1章 アジア史と古代文明 第2章 流動化

  • 野口旭『アベノミクスが変えた日本経済』(ちくま新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月28 野口旭『アベノミクスが変えた日経済』(ちくま新書) 7点 カテゴリ:政治・経済 雇用の改善や株価の上昇をもたらしながら、物価目標が未達成となっているアベノミクス。安倍政権をめぐる党派的な対立が激しいこともあって、その評価は大きく割れているのが現状です。 著者はいわゆる「リフレ派」の一人とされる人物で、アベノミクスを評価する立場の人ですが、「日経済が縮小均衡に陥った責任の大部分は、明らかに民主党よりも自民党にあるといえる」(22p)と述べるなど、全体的に党派性をあまり感じさせない理論的な筆致で書かれています。 目次は以下の通り。 第1章 アベノミクスとは何だったのか 第2章 世界大不況とアベノミクス 第3章 異次元金融緩和政策の真実 第4章 雇用政策としてのアベノミクス 第5章 経済政策における緊縮と反繁縮 バブル崩壊以後、日は「失われた20年」ともいわれる経済の低迷に苦しみ

  • 清水克行『耳鼻削ぎの日本史』(歴史新書y) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月14 清水克行『耳鼻削ぎの日史』(歴史新書y) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 高校で日史を学んだ人は、次の史料を見た記憶があるかもしれません。 ヲレラカコノムキ(麦)マカヌモノナラハ、メコトモ(子ども)ヲヲイコ(追い込)メ、ミヽ(耳)ヲキ(切)リ、ハナ(鼻)ヲソキ(削ぎ)、カミ(髪)ヲキリテ、アマ(尼)ニナシテ、ナワ(縄)ホタシヲウチテ、サエナマントセメセンカウセラレ候… これは「阿弖河庄上村百姓申状」などと言われる史料で、鎌倉時代の地頭の無法ぶりを伝える史料として知られています。 この史料においてなんといってもインパクトがあるのが、「(耳)ヲキ(切)リ、ハナ(鼻)ヲソキ(削ぎ)」という部分。言うことを聞かない百姓のを監禁し、「耳と鼻を削ぐ」というのは現代の感覚からするとあまりにも残虐非道なことで、『北斗の拳」におけるモヒカンたちの行動と何ら変わりがありません(ちなみに歴史

    清水克行『耳鼻削ぎの日本史』(歴史新書y) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
  • ブレイディみかこ『労働者階級の反乱』(光文社新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    11月6 ブレイディみかこ『労働者階級の反乱』(光文社新書) 7点 カテゴリ:社会7点 副題は「地べたから見たイギリスEU離脱」。イギリス人と結婚し、イギリスのブライトンに住みながら、保育士兼ライターとして活躍する著者がイギリスのEU離脱とその背景をリポート、分析した。 著者に関してはネットの記事などでご存じの方も多いでしょうが、このでもイギリスの労働者階級の只中で暮らしながら、彼らがどのような考えをもってEU離脱に賛成したのかということを的確に伝えています。 後半の第III部に関しては、著者がなどを読んで勉強したことがまとめてある感じでやや面白さは落ちるのですが、前半は金成隆一『ルポ トランプ王国』(岩波新書)に通じる面白さがありますね。 目次は以下の通り。 第I部 地べたから見たブレグジットの「その後」 (1)ブレグジットとトランプ現象は当に似ていたのか (2)いま人々は、国民

    maturi
    maturi 2017/11/08
    ハマータウンの野郎ども|   坂爪真吾氏の本も主張や考察より、自分の体験談の部分が面白いんだよな…
  • 飯田泰之『マクロ経済学の核心』(光文社新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    7月5 飯田泰之『マクロ経済学の核心』(光文社新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 『飯田のミクロ』(光文社新書)の姉妹編とも言うべきが、『飯田のミクロ』から5年経って登場。ずいぶんと待たされましたが、著者の専攻がマクロ経済学ということもあって『飯田のミクロ』よりもわかりやすく興味深い内容に仕上がっていると思います。 ただ、先日紹介した坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』(岩波新書)が、経済学をまったく知らない人にも読めるようになっていたのに比べると、こちらは高校の政治経済レベルの知識をマスターした人、あるいはもうちょっと進んで初学者向けの経済学のテキストなどを読んだ人向けのレベルになります。 数式もけっこう出てきますし、経済学の知識がまったくない人が読み通すにはちょっとつらいかもしれません。 目次は以下の通り。 第1章 マクロ経済を見る「目」 第2章 長期経済理論としての新古典派成長

    飯田泰之『マクロ経済学の核心』(光文社新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
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    maturi 2017/07/07
    累進課税や社会保障制度の強い国では乗数効果は小さい)ことや、クラウディングアウト、金融政策の効果、流動性の罠などを説明しています。
  • 倉本一宏『戦争の日本古代史』(講談社現代新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月19 倉一宏『戦争の日古代史』(講談社現代新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 副題は「好太王碑、白村江から刀伊の入寇まで」。この副題からも分かるように日古代の対外戦争歴史を扱ったになります。 ですが、日古代史を知っている人ならわかると思いますが、基的に古代において日に行った対外戦争というのは、上記の好太王との戦い、白村江の戦い、刀伊の入寇くらいでその数は少ないです。そのため、この戦争の部分だけでなくそれに付随する外交に関する部分に多くの紙幅を割いています。 特に朝鮮半島との外交関係についてはかなり詳細に書かれており、「古代における日と朝鮮半島の外交史」としても面白く読めると思います。 目次は以下の通り。 はじめに 倭国・日と対外戦争 第一章 高句麗好太王との戦い 四~五世紀 第二章 「任那」をめぐる争い 六~七世紀 第三章 白村江の戦 対唐・新羅戦争 七世紀

    倉本一宏『戦争の日本古代史』(講談社現代新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
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    maturi 2017/06/20
    荒山徹氏が白村江という小説を上梓していたような
  • 坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』(岩波新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月4 坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』(岩波新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 タイトルは「ミクロ経済学入門」ではなく「ミクロ経済学入門の入門」。そのタイトル通り、「ミクロ経済学の世界に分け入っていく」というよりは「ミクロ経済学にはどんなアイディアあって、それは何に使えるのか?」ということを読者に見せるような内容になっています。 数式はほとんどなく、くだけた文体とグラフを多用する視覚的な説明を行い、文150ページ未満のコンパクトな量。こういうと中学や高校で習う需要と供給のグラフに毛の生えた程度のものを想像する人もいるかもしれませんが、そこはマーケットデザインなどの研究をしている著者だけあって、随所にゲーム理論が埋め込まれるかたちで説明がなされており、ミクロ経済学についてそれなりの知識のある人にも新たな捉え方をもたらすような内容になっています。 また、150ページほどという量の部分

    坂井豊貴『ミクロ経済学入門の入門』(岩波新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
    maturi
    maturi 2017/06/05
    http://toyotaka-sakai.hatenablog.com/ の坂井先生 (id:)