終の信託 (光文社文庫) 作者: 朔立木出版社/メーカー: 光文社発売日: 2012/06/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログを見る延命治療の中止をテーマとして取りあげた小説で,映画化もされるとのことで読んでみました。具体的に明示はされていませんし,登場人物の描写はフィクションとして脚色されていますが,ベースとなっているのが「川崎協同病院事件」であることはすぐに分かります。 川崎協同病院事件 - Wikipedia 決してスッキリできる結末ではありません。読み終えたあと,患者さん本人の意志を尊重して延命治療を中断した「尊厳死」,という主治医から見た「事実」と,治療を継続していれば免れた死を招いた「殺人」という検事から見た「事実」のあいだにある断絶が重苦しく心に残ります。 主人公である医師は決して理想像ではなくむしろ,献身的な姿勢は伝わるものの職場での人