米国のポストケインズ派の重鎮であるジェイミー・ガルブレイス氏による、コロナウイルスとの戦いのための断固たる政策提言です。 これまで日本で論じられることのなかった、医療のための政府資金提供、動員、流通システムを維持する政策、人々を困窮から救う策など、幅広い政策がコンパクトに論じられています。 ジェイミーさんは、かのジョン・ケネス・ガルブレイスの息子で、バルファキス『黒い匣』ではヤニさんの米国の相棒として出てくる方です。ご本人の承諾を得て掲載いたします。 Galbraith2020_COVID19 翻訳に際しては、翻訳家の早川健治様より貴重なご助言を賜りました。ここに御礼申し上げます。 早川健治様の翻訳 エレン・ブラウン『負債の網 お金の闘争史・そしてお金の呪縛から自由になるために』那須里山舎、2019 アンドリュー・ヤン『普通の人々の戦い AIが奪う労働・人道資本主義・ユニバーサルベーシック
本会共同代表朴勝俊関西学院大学教授によるレポートです。 <要約> 本稿では、デフレ脱却時の金利上昇によって生じる、いわゆる「出口のリスク」について、シンプルな国債評価額シミュレーションモデルを用いて、政府・日銀・民間の三部門について同時に定量的な検討を行った。日本経済を模した簡便なモデルによって、日銀と民間が保有する国債が、デフレ脱却に伴う金利上昇のせいでどの程度の評価損を出すのか、名目経済成長によって民間の可処分所得と政府の税収がどの程度増えるのか、を同時に把握したのである。その際、名目金利は名目成長率に等しいと仮定した。 その結果は以下のとおりである。まず政府は、デフレ脱却に伴って新規国債に対して最終的に3%のクーポン金利を支払わなければならなくなると想定されるが、それは税収の増加分から支払うことが可能であり、財政破綻は起こらない。 日銀はデフレ脱却期に、最大およそ40兆円の国債評価損
economicpolicy.jp エコノミック・ポリシー・レポート 2019-012 1 MMT とは何か - L. Randall Wray の Modern Money Theory の要点 朴勝俊 2019/5/5 1. はじめに 本稿は Modern Monetary Theory (MMT、現代貨幣理論)の入門書である、レイ(L. Randall Wray)の Modern Money Theory(初版 2012 年、 第 2 版 2015 年)の要点を解説したものである。 解説者(朴) は(ま だ)MMT 論者ではなく、この本に MMT 論者のコンセンサスが集約されていると言えるのかどうかは 分からない。 本書には事実の記述と、 政策提言の主張が含まれており、 レイも政策提言については議論が ありうると述べている。 本書は全体で 306 ページあり、 「第1章 マクロ経済会
ブライアン・ロマンチャック「中央政府と中央銀行の会計を連結することは可能か?」(2017年6月5日、2019年3月12日修正、訳:朴勝俊) 日本では「統合政府」という訳語でも呼ばれる、政府と中央銀行のconsolidationとは、もともと親会社と子会社の「連結」を表す会計学上の言葉です。政府と中央銀行を連結して会計を作ると、両者の間の貸し借りは、相殺されて消えます。日本ではこのことについて扱っている教科書類は、浅田統一郎さんの『マクロ経済学基礎講義 <第3版>』ぐらいだと思いますが、欧米ではかなり議論が進んでいると思います。その中でも、これについて一からていねいかつ簡潔に説明した文章を見つけたので、ここに翻訳しておきます。 (2019年3月12日) 著者の属するMMT(現代貨幣理論学派)が着目を集め出していますので、訳文を再検討し、修正しました。
今回衆議院の解散がわかったあと、私たち「ひとびとの経済政策研究会」は某政治家から所属党に提案する経済政策マニフェスト私案の作成依頼を受け、粗作りのものを急ごしらえして提案しました。ところがその途端、情勢が急展開して、せっかくつくったマニフェスト案が宙に浮いてしまいました。 せっかくですから、もっとちゃんとしたものに完成させ、左派・リベラル派の政治勢力に選挙マニフェストとして採用してもらおうと、作成の途中段階のものをあちこちツテを尽くして送り、参考にしてもらえるように働きかけました。 結局どこからも反応がないまま、選挙も終盤になって、ここにようやく完成版ができあがりました。もう間に合わないかもしれませんが、あと一日でも二日でも、目にとめていただけた人に、ほんの一部でも参考にしていただけたらと、公表することにします。 目標数値やスピードについては、政治家サイドで薄まることを若干織り込んだものと
Change.org で消費税減税要求署名が行われています。2012年に消費税増税法案に賛成した民進党・自民党・公明党に提出するそうです。 キャンペーン – 民進党・自民党・公明党: これ以上の景気悪化を止めるため消費税を減税してください! – Change.org 衆議院選挙前に締め切るそうなので、賛同されるかたは、お早くお願いします。安倍さんが予定どおり10%引き上げをすると言って選挙に臨むのですから、ここで民進党が引き上げないと言えば、現在の圧倒的に不利な状況が、かなり好転できるはずなのですけど。 主宰者の難波亮丞さんが書いている「当キャンペーンのこれまでとこれから」という文章を読むと、応援しなければという気持ちになります。
本ブログ7月13日のエントリーでお知らせしました、松尾匡vs井上智洋/対談企画 ”「ひとびと」のための経済、そしてベーシックインカム” は、8月27日に、会場満員近くの90名弱のかたにご参加いただき、盛況のうちに終了することができました。ご参加いただいたみなさんに深く感謝いたします。 また、共催の「ベーシックインカム勉強会関西」さん、「市民社会フォーラム」さんには、イベントの企画・運営・宣伝のために、多大なご尽力をいただきました。ありがとうございます。もちろん、有意義で楽しいトークをいただいた井上智洋さんにも感謝いたします。 「市民社会フォーラム」さんのご厚意で、当日の動画を撮っていただいています。本当にありがとうございます。
要約: 水野和夫氏の著書は左派陣営、とくに脱成長論者たちに広く読まれている。彼の議論は、資本蓄積が進む一方でエネルギー価格が高騰したことから、利子率=利潤率が低下し、「資本主義の終焉」が迫っているとするものである。「ゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレ」は定常状態への移行を迫っており、「成長教」に囚われた景気回復策である金融緩和はバブルをもたらすだけで無効であり、また財政出動も効果がない。求められるのは財政均衡であり、消費税増税を含む増税も必要である、とする。つまり、景気回復も経済成長も不可能だというものである。水野氏の議論は総じて論理の飛躍がみられるが、用いている主要な概念、すなわち「利子率=利潤率」、「交易条件」、「セイ法則」、「マネタリズム」をめぐって専門家らしからぬ誤解が見られるし、成長や脱成長を論じながら、名目GDPと実質GDPの区別さえも明確にしていない。また、ヘタなアベノミクス批
自由党の山本太郎議員とのコラボ連続講座、7月8日に行われました第2回で、ご来場のみなさんからいただきましたご質問への回答を作成しました。たくさんのご質問をお寄せいただきまして、ありがとうございます。下記よりダウンロードしてください。 TaroKouen20170708Q&A
『ヘリコプターマネー』の著書で有名で、人工知能問題についてもたびたび言論活動を行なっておられる、今大注目の新進気鋭の経済学者、井上智洋駒沢大学准教授と、私、本会共同代表松尾匡のトーク企画を、下記のとおりおおくります。井上さんに、日銀緩和マネーとベーシックインカム、信用創造制度超克の関係について、じっくりお尋ねして、ご来場のみなさんといっしょに勉強したいと思っています。ぜひご来場ください。 「ひとびと」のための経済、そしてベーシックインカム 日本に蔓延するデフレマインドを鮮やかに払しょくするべく、 反緊縮松尾とヘリコプター井上がタッグを組んだスペシャル対談企画。 停滞から脱却し、誰もが等しく経済成長の恩恵を享受し、自由で楽しい社会を 実現するための経済政策を二人が徹底的に語り尽くします。 プログラム ①今後、景気はよくなっていくのか? ②起こりつつある「人手不足」と人工知能による「雇用崩壊」
レクチャーを頼まれましたので、作成したパワーポイント資料とレジュメです。2017年3月下旬時点の最新のデータで、なぜ野党が安倍自民党に勝てないのか、勝つためにはどんな経済政策を打ち出すべきかを説明しています。ご賛同いただけましたら、ご利用いただいて、ぜひ周りの人々に広めてください。 (追伸:パワーポイントのスライド#33の賃金の推移のグラフで、民主党政権と安倍政権の期間にミスがあったので修正しておきました。3/23) 松尾匡 March2017Lecture March2017LectureResume 追々伸:パワーポイントを持っていない人のために、スライドをpdfにして欲しいとのご要望がありましたので、pdfにしたものをアップしました。下記よりダウンロードしてください。 March2017Lecture
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