世界で最も大きな領土を有する国家はロシアであり、2位以下はカナダ、アメリカ、中国、ブラジルと続きます。しかし、こんな領土面積のランキングを知ったところで、雑学程度の価値しかないと思われる方もいるかもしれません。 しかし、政治学の長い歴史においては、この領土の広さが政治情勢に与える影響を真剣に考察した人物が何人か存在します。18世紀に活躍したフランスの思想家シャルル・ド・モンテスキュー(1689~1755)もその一人であり、その功績で彼は政治地理学の先駆者として位置づけられることもあるほどです。 今回は、モンテスキューが戦争状態に置かれた国家の存亡を考える上で、領土の面積が重要な意味を持つことを指摘した議論を紹介してみたいと思います。以下では彼の古典的著作『法の精神』(1748)を参照します。 国防のためには、領土にある程度の広さが求められるモンテスキューの政治学の特徴は、地理的な要因をいつ
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