「14106」という言葉が世の中を騒がせるころ、僕は高校生だった。そして初めてのデートを経験することになった。 当時は、ポケットベルという数字を送り合う端末が登場し、学生たちはこぞって持ち始めた頃だ。それまでは、デートの誘いは、相手の実家に電話をしなければいけなかった。誰しも「親に電話を切られる」という洗礼を受けていたものだ。 愛しているという意味を込めた「14106(この数字の読み方を語呂合わせでアイ(1)シ(4)テ(10)ル(6)と読んだ)」という数字を送り合って。愛どころか、恋さえもわからないくせに。 その時の男子高校生のほとんどがそうだったと思うが、僕が当時、恋をしていたのはクラスメートで。それもかわいいからとかではなくて、自分と席が近かったとか、そんな環境要因で。 彼女は勉強もできた。焼きそばパンも食べた。僕は、お昼に学校の近くのパン屋さんに昼食を買いに行った。その時に彼女に「何