遅刻をしてきてもデートのある日は、「今日は8時半にディナーの約束があるから8時に終わるわよね」と屈託なく主張する。しかも不思議なことに、「いつもセリフが入ってなくて10テイクくらい撮るのに、そういう時は1テイクでOKを出す」と是枝監督は笑う。 「基本、遅刻しても帳尻を合わせてくるんです。そこはさすがです。“神テイク”が必ずある。それで、『間に合ったわ、じゃあね~』と喜々として帰っていく。スタッフと、これは毎日デートの約束を入れてもらったほうが現場はスムーズなんじゃないかと話していたくらい(笑)。そういうちゃっかりしたところがあるんですが、本能のままだから憎めない。結果的に、彼女が遅刻しようが何だろうが振り回されつつ、みんな受け入れざるをえないくらいファンになるんですよ。僕ももう完全にやられちゃいました」 近寄り難い大女優──。そんなイメージが是枝監督のドヌーヴ話を聞いているうちにいい意味で