兵庫県の海水浴場といえば、須磨に舞子、明石、新舞子、但馬、淡路… いえいえ、皆さん、覚えていますか? 阪神間で活況を極めながら、こつ然と姿を消した3カ所のことを。 現在の芦屋市に位置する打出は、阪神電気鉄道が「打ち出の小づち」を思わせるめでたい地名の縁起を担ぎ、1905(明治38)年に開設。休憩所や食堂、脱衣所を設け、貸しボートも用意した。 新聞などでの派手な宣伝もあって大勢の海水浴客が押し寄せたが、カキの殻や築堤の崩れた石でけがをしたり、小魚に刺されたりするなどの不具合も重なり、2年後には東隣の香櫨園浜に移した。 香櫨園海水浴場(西宮市)は「阪神間一のカッパ天国」の異名を取り、大阪や神戸からの客で大いににぎわった。よしず張りの休憩所や売店、浴場などがあり、水練所も開かれた。 小学校校長などを務め、幼いころ香櫨園浜で泳いだ男性(89)=西宮市=は「硬いソラマメを腰に下げて1時間も泳いだら、