胸をえぐる非正規滞在者めぐる理不尽な実態―織田 朝日『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』中島 京子による書評 ◆非正規滞在者めぐる理不尽な実態 本書は、日本に在留する外国人を取り巻く様々な問題、ことに在留資格が得られないことで苦境に陥っている人々に焦点を当てたルポルタージュだ。外国人支援のための団体を主宰する著者が、実際に見聞きした事例をもとに柔らかい語り口で一般向けに書き下ろした本だけれど、書かれている内容は衝撃的で胸を抉(えぐ)る。 本書で扱われるエピソードの多くは、出入国在留管理庁(入管)が所管する「収容所」を舞台にしている。 入管は、外国人の出入国管理、在留管理、難民認定などを行う機関で、ここで外国籍の人々はビザの更新や変更などの手続きを行う。「この建物の一部には非正規滞在者の収容所というものが存在」することを、知っている人は多くないだろう。 “一度収容されれば