個人的な好き嫌いは別として、中国との経済関係の重要性を否定する日本人はいないはずである。日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、日本企業の対外直接投資が最も集中している国が中国である。すなわち、日本にとり中国は最重要の工場であり、最大の市場でもある。 対中関係の重要性は、国際貿易や直接投資の面だけに限らず、安全保障の観点からも重要である。むろん、中国にとっても対日関係の重要性は同じだ。 しかし、これまでの10年間を振り返れば、日中関係は必ずしも順調に発展していない。歴史認識の違いや領土・領海の所有権を巡る対立により、日中関係はぎくしゃくしている。日中両政府はこれらの問題に冷静に対処しているが、アンケート調査によれば両国の国民感情はどんどん悪化している。 仮面をかぶっていた日中の蜜月時代 小泉純一郎元総理の時代に、日中関係は大きな転換点を迎えた。それまで両国は互いに「我慢」していたが、その