ブックマーク / yashio.hatenablog.com (15)

  • 飾りとしての「断言」しか持っていない人 - やしお

    <アーティストって肩書きは「人権侵害します」って意味>とツイートしてみんなからツッコまれてた人のトゥギャッターのまとめをついつい全部見てしまって、筋とは関係ないんだけど、何かを「断言する」という行為についてかなり感覚が違うのかもしれない、と思った。 「断言する」というのは、徹底的に疑って、疑い尽くして、それでも「(この条件が仮定された場合)こうでしかあり得ない」という結論に至ってようやく断言することができる。疑い尽くしてっていうのがちょっと大袈裟かもしれないけど、少なくとも色んな面で検証して、その論の耐久性を確かめるという作業があるから断言できる。そういう認識を持っている。 あ、でもこの人はそういう認識を共有してないんだ、と読んでいて急に思った。たぶん「断言する」という行為を、相手を威圧したり論に説得力を持たせたりする、外装の一種だと思っている。その人にとっては「だと思う」と「だ」は意味

    飾りとしての「断言」しか持っていない人 - やしお
  • 若い同僚を疲弊させたくない - やしお

    隣の席に入社2年になる若手社員がいる。私が半年前に今の部署に異動してから様子を見ていて、大変そうな状況になっている。まだ経験の浅いうちに、仕事のマネジメントをしてくれる人がいないというのはつらいことだなと思った。 自分が入社して配属された部署には、課の下に3、4人程度の「チーム」があってリーダーがいた。そのリーダーが部署間の調整や仕事の割り振り、メンバーの進捗を確認したり、あるいは物事の判断をしていた。メンバーにはきちんと仕事がフィルタリングされた状態で入ってきたし、業務の負荷量も把握してくれていた。だからメンバーは自分の作業に集中すればよかった。またメンバーが「いったいどういう背景や経緯でこの作業があるのか」と聞けばリーダーはきちんと教えてくれたし、あるいは「これはこうした方がいいのでは」といった提案も受け付けてくれていたから、「ひたすら作業ばかりをしてむなしさが募る」といったこともなか

    若い同僚を疲弊させたくない - やしお
    meltylove
    meltylove 2015/04/13
    “ところで一つ気付いたことがある。どうも業務負荷というのは、客観的な業務量より、当人の主観的な負担感を基に把握した方が、逆説的なようだがより客観性を持ち得るようだ”
  • この視界を更新する - やしお

    友人なのか恋人なのか決めないと気がすまない人がかなりいる。気がすまないというより、友人か恋人か排他的に決められるとまるっきり信じこんでいる。 私が知人との関係性について書いたおブログの記事に、ツイッターで「もしかして:ホモ」と書いている人をこの前見かけて、そういえばと思い出した。 自分がいて、他人がいれば、その二人のあいだには唯一無二の関係性が生じる。しかも世界で唯一なだけでなく歴史上唯一で、その瞬間、瞬間で変化していってしまう関係性。でもその関係性を同僚、親子、同級生、友人、恋人……と類型化することで、うにょうにょ動く千変万化のなにかを把握できるようにしている。 そうやって便宜的にカテゴライズしているだけだ、ということをすっかり忘れて、そのカテゴリに振り回されてしまうのだ。既知のカテゴリに当てはまらないものなんて存在しないと思い込んでしまう。それで、「男女間に友情は成り立つのか?」という

    この視界を更新する - やしお
  • 会社員になって他人に厳しくなっていく - やしお

    なんかサラリーマンになると、他人に厳しくなってるような気がする。昔の同級生や、会社の同期を見ていてたまにそんなことを思う。厳しいというのは無理難題を要求するとかじゃなくて、これくらいは働いて当然だという水準が高くなってて、それを他人に押し付けていて、そのこと自体に疑いをあまり持っていないという感じだ。 この前、ひさびさに同期と同じ電車に乗っていたときに「うちの会社だと製造部門と開発部門で給与面とかの待遇が変わりないけど、ほかの会社だと違うんだろうね」といったことを言われた。その場では一般論というつもりで「ああ、そうかもしれないね」と応えたけれど、それを言った彼が開発部門の人間で、自分が製造部門の人間だから、これってどういうつもりなんだろうと少し思った。開発部門の方が能力的に高い仕事を求められているのだし、そこで待遇面の差がつけられてしかるべきだろう、という意図には違いないだろうけど、それを

    会社員になって他人に厳しくなっていく - やしお
    meltylove
    meltylove 2015/03/13
    ここのバランスの難しさ、ほんとに最近になってようやく実感しだせた気がする
  • 高学歴の方が優しいみたいな傾向 - やしお

    しばらく前にツイッターで「かしこい学校は冷たくてヤンキーの学校は頭は悪いけど心は優しい、みたいなイメージは実際には逆」というような話を読んで、ちょっとわかる気がした。 会社の同じ部の中で、高卒、高専卒、大卒(学部卒)、院卒(修士卒)が入り混じってる(製造系の部署なので博士はいない)。付き合っていく中で、後者になるにつれて、他人に対する想像力が強い傾向にあるような印象がある。他人を批判するときも(もし自分が相手の立場だったらやっぱり難しいかもしれないな)という想像力で抑制されているような感じ。陰口にならないように、客観的な批判であり得るように心がけているように見える。 自分が学生だったころ、10代だったころを思い出すと、教師のことを陰で簡単にバカにしていた。それと同じような印象を、高卒・高専卒の20代の同僚たちの陰口から受けることが多い。自分はより分かっている/相手はより分かっていない、とい

    高学歴の方が優しいみたいな傾向 - やしお
    meltylove
    meltylove 2015/03/13
    "果たしてこれは正当であり得るのだろうかとひたすら考える態度にびっくりしてあこがれて、20歳前後のとき集中して彼の著作を読んで、真似してたらだんだん習慣になっていった"
  • さみしくて浮気する正当性 - やしお

    「さみしかったから浮気した」みたいな話。今まで(ふーんそういうものか)とあまり深く考えたことがなかった。でも急に(そういうことか!)と腑に落ちた。 「だって、寂しかったんだもん」はまるで被害者のような言い分だから、浮気された側は「おれの方が被害者なのに何言ってるんだふざけるな!」となるけれど、加害者側の実感としては当に自分が被害者なのだ。 差し伸べた手を払われるというのは非常に大きな屈辱だ。ハイタッチを無視される場面を思い浮かべればよくわかる。「寂しかった」はこれが積み重なった状態だ。「今度の休みどこそこ行こうよ」「今夜しようよ」といった手の差し伸べに対して、「その日予定あるから」「今日は疲れてるから」の一言ですげなく断るというのが例えばそれだ。ここで「いやあ、自分が好きで誘っただけのことだから、別に断られたってね」と思えるかというとなかなか難しい。「なんでこっちばっかり相手に好意を見せ

    さみしくて浮気する正当性 - やしお
    meltylove
    meltylove 2015/01/06
    “これはもう、差し伸べられた手を払えば相手に屈辱を与える、という事実に鈍感な方が悪い。そこを無視して関係を維持できると曖昧に信じる怠惰が悪い”
  • 友人に金を貸す話 - やしお

    真面目で誠実な人が、支払えないような借金を重ねていく。その端緒を目の前で見て驚いた。どうしてなのかあれこれ考えていたことを、忘れないよう記録しておく。 背景1:支払いの遅延 友人に7万円ほど貸している。半年ほど前にiPadを買いたいというので6万を貸した。これは彼の金の算段があまりに損なやり方だったために、見かねて私から申し出たものだった。それから先日一緒に旅行した際に4.5万円。これは旅行の日程と、彼の給料(手渡しの週払い)の支払日が重なって受け取れなかった分を肩代わりしたものである。すでに3.5万円が返済されて残り7万円になっている。 iPad代は当初、毎月5千円の返済で取り決めた。相手の支払い能力を見極めたつもりで合意した額だったが、3ヶ月目でコンスタントな支払いが崩れてしまった。説明や事前の通知なく遅れて、たまにややまとまって支払われるような状態になっている。 給料肩代わり分は、

    友人に金を貸す話 - やしお
  • インターネットの乱獲、滅びゆく魚たち - やしお

    インターネットの上で、プライベートとパブリックがひと続きになった。それはまるで逆さまの海みたいだ。奥底にいるときは圧力が低く、表面に近づくにつれ圧力が高まるような海。そうして海底からふいに海面へと引きずり出されるとき、圧力に耐え得るものとそうでないものとがある。高校生の飲酒自慢ツイートなどはパブリックの圧力に耐えられないし、見事な腕前のアマチュア歌手の歌などは耐えられるだろう。 プライベートの弱さが消える世界 プライベートなものも突然、地引網で浜へと引き上げられてしまうこと。海面へ向かうには圧力に耐えねばならないこと。 そうした現実が、インターネットの海の中でまだ周知されていない。それらが知れ渡った暁にはもう、私たちはあのはかなく脆いプライベートな魚を目にすることはなくなるだろう。例えば、浜へ引き上げても絶対に開かない安全な貝の中へと閉じこもってしまう。もしくは固い殻を帯びて繊細さの欠けた

    インターネットの乱獲、滅びゆく魚たち - やしお
    meltylove
    meltylove 2014/10/26
    "しかし人々は乱獲によってバラエティに富んだ深海魚たちを滅ぼしつつある" 結びがよかった。/ブクマが伸びた次の文章からの流れで読んだので余計に楽しめた気がする。
  • カレー捨てられて殴り殺すの、マジわかる - やしお

    姑に作ってる途中のカレー捨てられて、首絞めて鍋で殴った(殺してない)中年の女のニュース、当になにか、わかる、あれはもうどうしようもないんだよなと思って、記憶をよみがえらせて、勝手にわかったつもりで読んでた。その瞬間の感情、たぶん同じやつ経験したことあるなと思って、あれは、あんな怒りが存在するんだなと当に驚いたこと思い出してました。 むかし家庭教師のバイトしてた。男子中学生の。あまり頭がいいほうじゃなかった。なんとか丁寧に、一生懸命おしえてた。その子も頑張って理解しようとしてもうまくできなくてイライラしちゃうみたいだった。それでもわかってもらおうとこっちも熱を帯びてきてた。熱心に説明してる途中でその子が、 「ああ。もういいから。」 って吐き捨てるように言った。 その瞬間。体の組織ぜんぶが金属に硬化したような息苦しい圧迫されるような感覚に全身が襲われて、経験したことない怒りに突き上げられた

    カレー捨てられて殴り殺すの、マジわかる - やしお
    meltylove
    meltylove 2014/10/25
    この感覚を文章/言葉で読むの、よかった。
  • 2014年上半期に読んで心底面白かった本 - やしお

    フランツ・カフカ『アメリカ』 極めてクリアーに書かれていくことでかえって世界の見えなさが立ち上がってくる、ということを見せてくれる小説。ミステリーのように記述を省略して何かを隠すということはない。三人称一元視点で主人公の少年が直面する事態が明瞭に描かれていく。主人公が思考し、事態に対処しようとする様子も隠しだてされることなく私たちは見ることができる。 それにもかかわらず、この世界が不可視なのだという印象が強烈に与えられる。放り込まれた迷路の中で、壁を撫でてその感触だけを確かめているような気にさせられる。ガルシア=マルケスが『族長の秋』で、一人称と三人称を混在させ、時間軸も交錯し、ほとんど荒唐無稽な思考と行動を描きながら、世界を異様にクリアーに見せてしまったのと、ちょうど対称的だ。 アメリカ (角川文庫) 作者: フランツ・カフカ,中井正文出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1972/01

    2014年上半期に読んで心底面白かった本 - やしお
    meltylove
    meltylove 2014/07/27
    普段の語りがおもしろい人が本薦めてるとめっちゃ影響受けちゃう、けどまあよい。構造的にあんまり自制いらないでしょ、って気もするし。
  • みんなの出会いがキセキだょ? ずっとずーっと、いっしょだょ? - やしお

    混雑した道を歩いていると(あ、肩がぶつかる)と思った瞬間に相手がすり抜けていくときがある。漫画の「黒子のバスケ」で黒子氏の技にバニシングドライブというものがある。相手にとってあたかも黒子氏がすり抜けたように見えるドリブル技である。これがそれだと思われる。 やや高い位置から道を眺めていたとき、対向したサラリーマン同士がすれ違う瞬間にお互い右肩を素早く引き、すれ違い後に素早く戻すのを見た。武道の型のようで美しかった。見知らぬ相手同士が言葉も交わさずに、最適なタイミングで最小の動作で回避する。忍者だと思った。 それから対向者の進路が重なりお見合い状態になることがある。今朝サラリーマン同士が正面で向き合って停止、しばらく微動だにせずややあってからお互い右にずれて歩き去ってゆくのを見た。 「黒子のバスケ」で青峰氏と火神氏が相対し、互いに相手の動きを脳内でシミュレートし合って実際の動作に移る前に勝負が

    みんなの出会いがキセキだょ? ずっとずーっと、いっしょだょ? - やしお
    meltylove
    meltylove 2014/03/10
    読み終わったあと、日本のふつうの会社員の日記です、の説明文見た。
  • 勉強する「気持ち」をお父さんは伝えたい - やしお

    とつぜん中学生の子供ができたときのためのメモ。 ああ、勉強ってこんな風にするんだなとお父さんがようやくわかったのは、20歳くらいのときだった。もっと早くからわかっていればなあと、少し後悔してる。それでまだ中学生の君にとってなにかヒントになるかもしれないと思って、ちょっとお父さんの話に付き合ってほしいんだ。 勉強がめんどくさくなくなった 興味って、「ある」んじゃなくて「自分でつくる」ものなんだとわかったとき、はじめて勉強の仕方がわかった気がした。 興味があるから気で勉強できるんじゃなくて、気で考えるから興味がわいてくる。そして興味がまた考えさせて、さらに興味がわいてくる、そんな循環に気づいてから勉強が苦痛じゃなくなってきた。 興味なかった教科でも、どうしてこの結論になったんだろう? この結果はどんな意味があるんだろう? これはあれと似てるけど関係あるのかな?……そんな疑問を立てつづけて、

    勉強する「気持ち」をお父さんは伝えたい - やしお
  • 一人称小説を書くということ - やしお

    「たっくんはいない」というお話を書いた。(http://d.hatena.ne.jp/OjohmbonX/20131208/p1) 長いしたぶん誰も読まない。つらい。せめてこうゆうこと考えて書いてたみたいなこと書く。 「あたし」の制約 一人称の一元視点の制約に留意する。視点人物が知らないことは書けない。出来事、思考、言葉の選択、語彙の乏しさ、時間や距離の感覚、あらゆる面で「あたし」の視点でなければならない。 書き手の自分を精一杯殺して、37歳でようやく就職を目指し、常識がなく、金勘定の緩い「あたし」を全力で現実として支える。 バカをバカにしない 書き手が愚かさを見下してはならない。愚かな振る舞いや語彙の乏しさをただ散りばめれば愚かさを表現できるわけではない。 他人から見てどれほど突拍子のない認識でも、ある理論体系から導かれている。ただその理論体系があまりに不必要に多くの仮定を採用しているた

    一人称小説を書くということ - やしお
    meltylove
    meltylove 2013/12/09
    おもしろい。創作の裏側にある思考の話がものすごく好きです。
  • つらいということ - やしお

    先々月に父が急死した。 もし親が死んでも自分は意外と平気でいられるんじゃないかと考えていた。何かを整理して考える力も大分ついてるし大丈夫かもしれないと侮っていたが実際はまるで平気ではなくて自分でも驚いた。体験を通さないと当には分からないことが確かにある。 12月14日(金)の昼前、母から「父と昨日から連絡がとれない」とメールが入った。両親は離婚して別々に住んではいたものの、連絡を取り合ったり会ったりもたまにしていた。 前日が僕の誕生日で、田舎から両親の名義でお菓子が届いていたから、二人宛にお礼のメールを出していた。いつもは電話をかけてくる父親から返事がなかったから変だなとは思っていた。 僕の誕生日のこともあり10日ぶりに母も父に連絡をとろうとしたようだが、メールの返事もなく、電話も「電源が入ってない」のメッセージばかりだという。それで警察と部屋を見に行ってくるという。 事故か、失踪か、病

    つらいということ - やしお
  • 「間違っている」という指摘の位置づけ - やしお

    誰かが何かを「間違っている」と主張してる場面はネットでも職場でも学校でもテレビでも無数に見かけるけど、そのたびに、いったいどういう意味で「違う」って言ってるのかなといちおう考える。それは「正しい」には「無謬である」と「妥当である」の2種類あると(今のところの)ぼくは思ってて、そのどっちについての指摘だろうかと考えてるってことなんだ。 そう考えて何がお得かっていうと、「なんかピンとこねえ反論だな」と思ったときにどの辺でピンとこないのかを探ったり、何を根拠に言い返してみるか材料のありかのあたりをつけたり、どういう態度をとればいいのか決定するときのヒントにしたり。それに傍から見てるだけのときでも、自分が指摘する側にいるときでも、その指摘がもともとの主張に対してどういう位置づけのものかがはっきりすれば、すっきりするしね。 2つの「正しい」 「正しい」には「無謬である」と「妥当である」の2種類あると

    「間違っている」という指摘の位置づけ - やしお
    meltylove
    meltylove 2013/01/05
    "イェーイじゃねえよ。浮かれてんじゃねえ"で笑いました。基本型と応用型が書かれてて、だいぶ脳内整理できました。
  • 1