『通天閣』で交わるふたつの生活 『サラバ』で第152回直木三十五賞を受賞した西加奈子氏が、2006年に発表した小説である。「底辺」とか「場末」という言葉似合う工場勤務のおっさんと、スナック勤務の女性の生活が交互に描かれながら、大阪の「通天閣」を交差点に、ほんのちょっとだけ救われる展開に何か温かいものを感じる。 の大阪ミナミの町を舞台に、若々しく勢いのある文体で人情の機微を描く。このしょーもない世の中に、救いようのない人生に、ささやかだけど暖かい灯をともす絶望と再生の物語。第24回織田作之助賞受賞作。 [asin:4480426698:detail] ゆめにっき 章の始まりには、登場人物がその晩に観た「夢」が記述される。大抵は「焦り」だったり、「喪失」を暗示しているのだけど、その人物の心理状態を直接的に表現するよりも、真に迫るものがある。フロイトがどうとは言わないが、夢を覚えて言語化すると、
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