AppleがiBooks Authorを発表したが、「教科書」というキーワードを前面に出しているためか、所謂「電子書籍元年」の盛り上がりと比べると、いまいち話題になっていないような気がする。しかし、マルチメディアやインタラクティブ性を持つデジタル教科書、電子教科書とは、ある意味、広い意味での電子書籍(以下、マリー=ロール・ライアン氏の言葉を借りてDigital Narrative Textと言うことにする)の歴史を概観すれば、きわめて正統な継承者であるように、私には思われる。 以前、拙稿「なかなか変わらない世界―Digital Poetryに寄せて」(『ユリイカ2011年10月号 特集=現代俳句の新しい波』)や「電子書籍の/とインタラクティヴィティ」(『東洋学へのコンピュータ利用 第23回研究セミナー』、2012年3月)でも書いたことであるが、日本における電子書籍の議論は、Digital