歴史小説や大河ドラマで描かれる戦国武将は常に賢く、常に勇ましいが、実際は人間味溢れる一面もあったようだ。武田信玄が春日源助に宛てた手紙は、浮気はしてないと必死に言い訳するものだった。 【現代語訳】 〈一、弥七郎に度々言い寄ったが、虫気(腹の病)ということで相手にされていない。これは偽りではない。 一、弥七郎を伽(寝床)に寝させたことはない。以前にもそのようなことはない。まして、昼夜、弥七郎とそのようなことに及んではいないし、今夜もそうである。 一、別して、知人ということで色々走りまわれば、かえって疑いを受け、それは迷惑である。この条々、もし偽りであれば、当国一、二、三大明神、富士、白山、殊には八幡大菩薩、諏訪上下大明神より罰をこうむるべきである。(以下、略)〉 並み居る戦国武将たちから「甲斐の虎」と恐れられた武田信玄。1546(天文15)年のものと推測されるこの手紙からは、純情な恋心がうか