ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャによる周辺国への脱出の動きが顕著になっている。中には劣悪な密航船に乗る者や、人身売買組織に身をゆだねる者も。なぜ同民族はミャンマーで自国の民族として認められず、不法入国者として差別を受けてきたのか。 《ロヒンギャ族》 ミャンマー西部ラカイン州に住むイスラム系少数民族。交易に従事したイスラム商人やベンガル人の子孫とされる。ロヒンギャ族の人口は、イスラム教徒が比較的多いラカイン州の人口(約310万人)の3分の1を占める。政府は自国の民族とは認めず不法入国者として処遇する。ミャンマーには他にも昔から住むムスリムが多いが、ロヒンギャ族に対してだけは政府が厳しい姿勢を取っても、国内にそれを非難する声は少ない。