2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、世界各国をいっせいに襲ったために、各国が抱える課題を炙り出すと同時に、各国間の科学力の対比をも容易にした。とりわけ欧米諸国では複数のワクチンが数ヵ月で完成したのに対し、日本のワクチン開発は完全に出遅れた。 「科学技術立国」を標榜していたはずの日本に、いったい何が起きたのか。 背景を取材して見えてきた課題から、今後の改善策を探る──。 先進7ヵ国で最下位 世界では、ファイザーやモデルナ、アストラゼネカなどによる新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、それに呼応するように感染者数が激減した。6月上旬までに国民の4割が接種を終えた米国では、現金給付を柱とした政府の経済対策ともあいまって、経済回復のペースが加速している。 接種率が米国とほぼ同程度の英国では、インド変異株による感染拡大が懸念されてはいるものの、死者数には目立った増加傾向は見られない。