ネール・ジュナー氏は、コカインをやめようと決心した瞬間を鮮明に覚えている。2005年12月の寒い午後だった。元株式アナリストの同氏は、首をつるのにうってつけの枝を探してロンドンのリッチモンドパークを歩き回っていた。 同氏は6年にわたる薬物乱用とアルコール漬けの生活で、家庭も、一時は100万ポンド(約1億4200万円)を稼ぎ出した職も失っていた。BTアレックス・ブラウンでのアナリストの仕事も、次に見つけた情報技術(IT)関連ベンチャー企業の仕事も失い、無職だった。「何もかもだめにしてしまった。選択できるのはただ、この枝で首をつるか、あの枝でつるかだった」と同氏は振り返る。 医療関係者によれば、コカインはロンドンの金融街シティーに蔓延(まんえん)している。また、コカイン乱用は大量の飲酒を伴うことが多いという。ジュナー氏は金融の世界での高揚した1日の後、仕事で感じたのと同じスリルを味わい続けたく