日本における医療の質は,たとえば健康寿命や乳幼児死亡率といった客観的な指標に関しては世界でもトップレベルであることは以前から言われていますが,一方では実際の患者側から見た主観的な満足度があまり高くないという指摘もあります。当方としてはそのあたりがどうにも釈然としなくて,医療を受ける側にしてみれば,医療が,たとえば蛇口をひねると水が出る如く,あって当然のものという認識だからではないかと何となく思っていました。医療に限らず,行政・福祉・教育の分野でも要求されるサービスの水準が上がっているという社会の傾向がありますから,そのなかで相対的に満足度が下がっているという面もあるのかも知れません。 少なくとも医療を高度化・重装備化してレベルを上げることは,他ならない患者側の要請であった筈ですが,その結果として医療を支えるコストが増大したことが社会として受け入れられないのであれば,実際に医療を受けている方