子供の頃に、読み聞かせてもらった童話はなんでしたか? グリム童話ですか? アンデルセン? それともイソップでしょうか。 私は母親が幼少の頃に贈られた(つまり私の手に渡った時点で背表紙などが綻んでいた)イソップ童話にかじりついていました。そのほかにも幼稚園や小児科にある絵本や。 小学校にあがって、文庫で星新一の小説を読むと、大人が読むような本(級数が小さいだけで、どの本もとても難しく見えました)も読めるようになっていることがわかり、日常の多くの時間を読書に充てるようになりました。 それから時々、私はよい読者ではありませんでした。嫌なことがあった時、気を紛らわすために、字を斜め読みすることもあったからです。そうして本は私が健やかな時以外も、常に私のそばにありました。私に何も求めず、逃げず、いつもそばに。 高校生になってケータイ小説が世間的にも流行すると、これまで当たり前だと思っていた、紙で本を