本書において、著者は、日常生活の様々な場面においてウェブへのアクセスが発生する現在の状況を「現実空間の多孔化」と呼び、そのような状況が、社会にどのような影響を及ぼしているかを考察する。 本書は、当初はAR(Augumented Reality)等の「現実世界とネットの情報を紐づける技術」について社会学的に考察することを想定していた。しかし、その後、東日本大震災が発生し、より抽象度の高い問題を扱う方向に内容が練り直された。「現実空間の情報化が進むことで人々の間がますます分断されていく」という問題設定が、より重要な意味をもつようになったのだ。結果的に本書は、個人のみならず地域レベルの集団が、どのようにすれば「共同性」と「記憶」を保持できるか、という課題に向かう。キーとなるのは、自分の活動が自分にフィードバックされる「再帰性」だ。 第一部では、「現実空間の多孔化」の概念について説明される。スマー
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