山形浩生『訳者解説 新教養主義宣言リターンズ』(バジリコ) 訳者名で客を呼べると言われる山形浩生の、これまた本編よりも面白くて分かりやすいとすら言われる訳者解説を集めた本である。 ワタシは少し前に Twitter で速水健朗さんに「山形信者のyomoyomo」と書かれたことがあり、アニリール・セルカンと並んで2009年のキーパーソンに選ばれた評論界の瑛太に軽侮されて落ち込んでしまったのだが、本書に訳者解説が収録された14冊のうち、レッシグや esr など元々かかわりのあった分野の本をのぞけば全滅に近い未読率で、まったく忠誠心の低い信者もいたものである。 だから本書に収録された文章の多くは今回初めて読んだが、確かにどの本の訳者解説も面白い。本の概要にとどまらず、作品の原著者にとっての、また社会的な位置づけ、そして忌憚ない評価まで含め、読み応えのある文章が並んでいる。その語り口を痛快とみるか、