「還暦を祝う集い」で祝福される水俣病胎児性患者ら=熊本県水俣市で2016年1月9日午前10時53分、矢頭智剛撮影 「父の倍を生きた」「もう一回歩ければ」−−。「公害の原点」とされる水俣病の胎児性・小児性患者の「還暦を祝う集い」が9日、熊本県水俣市の水俣病患者らの生活支援施設「ほっとはうす」であった。患者らは自ら選んだ晴れ着姿で祝福を受け、人生の節目に感慨を込めた。水俣病は5月1日、公式確認から60年を迎える。 祝福を受けたのは施設を利用している胎児性患者の金子雄二さん(60)ら60歳前後の6人。 金子さんは真っ白いタキシードを着て、車いすで登場した。父親は金子さんが生まれる直前、劇症型の水俣病のため27歳の若さで亡くなった。金子さんは口周辺の硬直で発音が困難だが、その遺影を背に「お父さんの命の倍を生きた」と振り絞るように話した。