来年の干支(えと)「辰(たつ)」や縁起物をあしらった九谷焼を並べた企画展「迎春」が、小松市錦窯展示館で開かれている。来年1月30日まで。初代から四代にわたる九谷焼作家徳田八十吉の作品を中心に15点を展示している。 今年で生誕150周年を迎えた初代徳田八十吉(1873~1956年)の「吉田屋欽慕(きんぼ)龍図飾皿」は、直径45センチの大皿の中央部にたけだけしい龍が描かれている。同じく初代の「龍香炉」は、とぐろを巻いた龍の口から煙が出る仕掛けでユニークな作品。 小松の出身で江戸時代後期の九谷焼の名工粟生屋(あおや)源右衛門の「宝尽亀摘分銅型香合(たからづくしかめつみふんどうがたこうごう)」は、縦5センチ、横4センチの香合に、打ち出の小づちや宝巻など宝物を集めた吉祥文様が色鮮やかに描かれている。縁起が良いとされる弧状にくびれた分銅型で、上部には長寿の象徴である亀があしらわれている。山前圭司学芸員