現在、憲法学者たちが一番問題にしているのは、集団的自衛権という政策の是非ではない。いくら良い政策でも、憲法に反することはやってはいけない、というのが、立憲主義=憲法によって権力を拘束するという、現代の憲法が立脚する思想である。フランスでは1999年、男女平等を推し進めるため、パリテ法(男女同数候補者法)を議会が採択したが、憲法院はこれを憲法違反、平等違反と断じた。つまり、これは現行憲法では認められていない、正当化するためには憲法制定権力(=国民)の決定が必要だとされたのである。そこでフランスは、まずは憲法改正を経てから、ようやくパリテ法を実施することができたのである。平等という、誰も文句をつけられない目的を達するためでさえ、憲法に違反することを、権力はしてはいけないのである。今回のことも同じことである。集団的自衛権を認めることが良いか悪いかの問題ではない。現行憲法は集団的自衛権を認めていな