「ストリートピアノ」を無条件に設置して良いのだろうか? 公共的な閉鎖空間での演奏は自粛すべきでは 杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史) 何年前のことだろう。札幌のある美術館で「本願寺展」が開かれていた。札幌に出張したついでに見学に行ったが、美術館の入り口を入った時にいやな感じを覚えた。ロビーに何十脚もの椅子が並べられていたからである。しかも演奏者側にも数十脚。 場違いなロビーコンサート 国公立美術館・博物館の法人化が断行された頃からか、「ロビーコンサート」で見学者を増やそうとする動きが見られるようになった。同美術館もその流れに乗ったのであろう。 けれどもこの時の企画はひどいものだった。見学を始めてしばらくすると、館内に突如ブラスバンドの大音響がひびき始めた。しかもそれは、景気づけによく使われるオッフェンバッハの「天国と地獄」だった。 私は思わず耳を疑った。大音響それ自体が不快だった