毎年、今年はあの本を読めてよかったなと思える本が1冊ぐらいある。年末に厳密にランキングを考えているというよりもそれは読んだ瞬間にわかっていて、その他多数とは一線を画してくる。『その問題、経済学で解決できます。』はそういう本だった。 2014年に出ていたこの本をなぜいままで読まなかったのかと後悔したが、その答えは簡潔で邦題を見て、サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)となんとなく同じ類の本だと勘違いしてしまっていたからに他ならない。 もっともその本も目次しか読んでいないので、誤解だったら申し訳ないのだけれども、『その問題~』は日常の薄っぺらな悩みに対応する出来上がりきった学問的結論を並べていくような本ではなくて、実験経済学の第一線の研究者が現代社会の病理に向き合い、嘲笑や反感、ときには生命の危険を顧みずにデータを集め、問題を解決する、そういうドキュ