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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (9)

  • 孤独な少女の人生を描く、全米500万部の話題に劣らぬ内容を伴った超ベストセラー──『ザリガニの鳴くところ』 - 基本読書

    ザリガニの鳴くところ 作者:ディーリア・オーエンズ発売日: 2020/03/05メディア: 単行(ソフトカバー)この『ザリガニの鳴くところ』は著者ディーリア・オーエンズが70歳になってはじめて執筆小説であると同時に、またたく間に全米500万部、2019年のアメリカでもっとも売れた作品となった、湿地の少女を描く文学・ミステリィ小説である。 正直言って売上がどれだけ凄かろうがまったくおもしろみを感じない、というケースは往々にしてあるわけで、売上がなんぼのもんじゃい!! と(売上何万部と帯とかに書いてあるについては)謎の気炎を上げながら読むのだが、作に関してはよくもまあこんな作品がそんだけ売れてくれたなあ、と感謝をしたくなるようなである。端的にいって、とても美しく残酷な風景が描かれていて、とてつもなくおもしろい。 湿地で一人孤独に住まう少女の人生を追いながら、そこで起こった殺人事件の犯人

    孤独な少女の人生を描く、全米500万部の話題に劣らぬ内容を伴った超ベストセラー──『ザリガニの鳴くところ』 - 基本読書
  • 天才が天才について描いた映画監督漫画──『映画大好きポンポさん』 - 基本読書

    www.pixiv.net 傑作である。 非常にシンプルで洗練された作品であり、何よりも"フリーで"公開されている漫画作品なので、(あと僕にあまり漫画を語るスキルがないし)長々と紹介するのはやめておこう。一度でも読み始めたら最後、最初の一コマから最後の一コマまで無駄なく洗練された台詞回しと演出にぐっと掴まれ最後まで読みきらずにはいられないだろう。 表紙の「イカちゃんかな?」みたいなデフォルメされたキャラクタからはシリアスな物語が展開するとはとても思えないが、凄腕映画プロデューサーのポンポさんを筆頭として魅力的な"天才"たち──一瞬で別人に変貌してみせる、演技に関して天性の才能を発揮する天才俳優、映画のこと以外考えられない、それ以外の能力はまったくもって存在しない目が濁っている天才映画監督、物の才能を見つけて、適切なタイミングで適切なお題を与えることができる天才プロデューサー──そのすべて

    天才が天才について描いた映画監督漫画──『映画大好きポンポさん』 - 基本読書
  • 最後の一秒まで楽しかった──『けものフレンズ』 - 基本読書

    ようこそジャパリパークへ(初回限定盤) アーティスト: どうぶつビスケッツ×PPP出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント発売日: 2017/02/08メディア: CDこの商品を含むブログ (8件) を見る全12話、たいへんおもしろいアニメだった。 それだけでなく、わけがわからんぐらい物凄い話題になった。なぜこんなに物凄い話題になったのか、というのは運も絡むところであるし、「これだ!」と原因を言い切っても仕方がないが、少なくともつまらなければこの結果はなかっただろう。 全体的に予算があるとは言い難い。動くはずのところが動かない、アクションがあまりにショボい、など幾つもの要素が"安い"が、明確なコンセプト、洗練されたキャラデザ、細かな感情や空気感の伝わってくる脚/動物たちの仕草、"安く"とも"目指す志"の伝わってくる絵作り/構成などいくつものプラスの要素があった。その結果としていくつ

    最後の一秒まで楽しかった──『けものフレンズ』 - 基本読書
  • 『ストーカー』×実話怪談×百合──『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』 - 基本読書

    裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA) 作者: 宮澤伊織,shirakaba出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/02/23メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る当たり前のように怪異が存在し現実とは異なる空間が広がる、何が起こるか予測がつかない裏世界。書はそんな世界に入り込む方法を見つけてしまった紙越空魚(表紙のメガネの方)と仁科鳥子(同NOTメガネ)の二人が出会い、きゃっきゃしながら冒険したり裏世界の秘密に迫ったりする怪異探検サバイバル百合SFである。 そのうえ、僕はさっぱり知らなかったが「くねくね」や「八尺様」などの実話怪談が裏世界では実際に存在し──と、とにかくストルガツキー兄弟の『ストーカー』やら百合やら実話怪談やらと著者が好きなんだろうな〜〜と思わせる要素が山盛りに詰め込まれており、二人の微笑ましいやりとりとノリのいい一人称も

    『ストーカー』×実話怪談×百合──『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』 - 基本読書
  • 語り合いたくなる映画──『シン・ゴジラ』 - 基本読書

    ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ 作者: カラー、東宝,庵野秀明出版社/メーカー: グラウンドワークス発売日: 2016/09/20メディア: 大型この商品を含むブログ (15件) を見る『シン・ゴジラ』は実に語りたくなる映画だ。セリフは聞き取れないほど早く展開し、それを別の誰かが全ての人間がわかるように解説したりしないから情報量が多いし、1カット1カットにおもしろさと意味不明な部分が込められていてあれはなんだったんだ? あれはめちゃくちゃおもしろかった! と誰かと分かち合いたくなる。 予想を遥かに超えてきた映画でもあった。予想とはいっても、事前情報が絞られていたので予告篇ぐらいしかその材料はなかったのだが。予告篇を見る限りでは、CGゴジラには微妙に違和感があるし、会議のシーンばかりできちんと映画として成り立つのか不安に思う。それ以前の問題として、「邦画の予算規模」という絶対的な限界があり

    語り合いたくなる映画──『シン・ゴジラ』 - 基本読書
  • コンテンツ業からサービス業へ──『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか』 - 基本読書

    デジタル・ジャーナリズムは稼げるか 作者: ジェフジャービス,茂木崇,Jeff Jarvis,夏目大出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2016/05/27メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見るデジタル・ジャーナリズムが今ぱっとしないのはなぜなのか、そして将来的にそれは今よりも稼げるようになるのか──という題材を扱っているが、なんともスッキリしない一冊だ。革新的な理論、仮説があるというよりかは、愚直にどういう一手を打っていったらいいのかを考えていく地味さがある。ただ、スッキリとした結論が簡単に出せる問いかけでもなく、この地味さは誠実さのあらわれであると思う。 著者のジェフ・ジャービスは元編集者であったりデジタル・メディアの社長であったり、大学院のジャーナリズム学科で教授もやっている。そこで彼は、起業ジャーナリズムコースといって生徒たちを相手に、今どのような形のジャ

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  • 彼女はまちがいなく、世界一の美女だった──『ブロントメク!』 - 基本読書

    ブロントメク! (河出文庫) 作者: マイクルコーニイ,Michael Coney,大森望出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/03/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る著者のマイクル・コーニイは『ハローサマー、グッドバイ』が有名で、この『ブロントメク!』はそれと並ぶ最高傑作と評価されている長篇だ。 『ハローサマー、グッドバイ』は傑作だっただけに書へも期待がかかっていたわけだが、たしかに並ぶぐらいにはおもしろい。銀河中に人類が広がっており、特定の周期で特別なことが起こる惑星、特異な能力を持ったエイリアン、理想を体現した現実とは思えない美女の存在とこの世界のさまざまな要素が提示されていくが、それらがどう結末に絡んでくるのか最初はまったくわからない。それでも読み進めていくうちに、見事に要素が組み合わさって驚きと切なさを残して終わる、美しい作品だ。 ひとこと

    彼女はまちがいなく、世界一の美女だった──『ブロントメク!』 - 基本読書
    minesweeper96
    minesweeper96 2016/03/10
    ハローサマー、グッドバイの人だ
  • スチームパンク×時間SF──『ねじまき男と機械の心』 by マーク・ホダー - 基本読書

    ねじまき男と機械の心〈上〉 (大英帝国蒸気奇譚2) (創元海外SF叢書) 作者: マーク・ホダー,緒賀岳志,金子司出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/07/29メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見るねじまき男と機械の心〈下〉 (大英帝国蒸気奇譚2) (創元海外SF叢書) 作者: マーク・ホダー,緒賀岳志,北原尚彦,金子司出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/07/29メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る優生学者が途方もない大きさまで育てた乗り物用のヤスデ、伝令用の犬、言葉を覚えて伝えるインコと異形の群れが跳梁跋扈する、我々のよく知る歴史とは決定的に分岐してしまっている19世紀のロンドンが舞台となる<<大英帝国蒸気奇譚>>シリーズの第二弾が書『ねじまき男と機械の心』になる。一作目は同じく上下巻で『バネ足ジャックと時空の罠』があ

    スチームパンク×時間SF──『ねじまき男と機械の心』 by マーク・ホダー - 基本読書
    minesweeper96
    minesweeper96 2015/08/06
    やばい
  • 村上さんのところ by 村上春樹 - 基本読書

    村上さんのところ 作者: 村上 春樹,フジモトマサル出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/07/24メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る村上さんのところ、という小説家の村上春樹さんが2015年の1月15日から5月13日までの間に寄せられた質問に答えて答えて答えまくるサイトがあった。サイトオープン中になんと3331通も返信したのだという。適当なコピペみたいな文章ではなく、しっかりと一つずつ読んで、どこをどう切り取っても村上春樹文体だなあという文体で3331通。総計1億PVを超えたというから、読んだ人も多いだろうし、勿論僕も楽しく読んでいたうちの一人だ。つまるところここでわざわざ書く意味もほとんどないので、ちょろっと、日記的に書いておこう。村上さんのところ コンプリート版 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/07/24メディ

    村上さんのところ by 村上春樹 - 基本読書
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