村上春樹さんの7年ぶりの本格長編小説『騎士団長殺し』が2月24日に発売された。初版と事前増刷を併せて130万部という驚異的な数字と、表紙や内容がベールに包まれたプロモーションにも注目が集まった。その背景と施策について、新潮社の担当編集者に聞いた。 (文:スマートニュース マーケティングディレクター/SmartNews Creative HUB 松岡洋平 氏) 「先入観」を避けるための余白 2002年刊の『海辺のカフカ』(新潮社)では、発売前に「15歳の話らしい」「中野区の話らしい」といったコピーを小出しにして、最小限の内容を明かすことを試みました。さらに2009年刊の『1Q84』(新潮社)では、「先入観なく作品を読んでほしい」という村上春樹さんの意向から、発売までは内容を一切開示しない施策をとりました。 前作の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)も、表紙や内容などの情報
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