「おいしいね」「うん」。こんな簡単な会話で気持ちを共有できる。理由なくそこに居場所ができる。単身者の増加や食サービスの多様化で「孤食」が広がる平成時代に、なお支持される「共食」の意味とは。(朝日新聞記者・山内深紗子) 【写真特集】大きな鍋で調理、冷蔵・冷凍庫や並んだ調味料など台所の様子も コモンミールからみる「共食」の風景 ブリの蜂蜜ショウガ焼き、豚のレンジ蒸し、コールスロー、カボチャサラダ、たきたてご飯にみそ汁……。 10月末の平日午後7時。東京都世田谷区の主婦加賀谷律子さん(58)は8品を食卓に並べ、自宅に主婦や会社員の4人の参加者を迎えた。 「丁寧で野菜たくさん。すごいですね」と会社員の女性(44)が歓声を上げた。全員が初対面。だが、すぐに打ち解け、台所に入って、みそ汁とごはんを各自よそって食卓を囲んだ。料理のコツから婚活話まで。おしゃべりは尽きなかった。 デザートの柿と手製のケーキ