「美しい日本をホテルが走る。」をコンセプトにした瑞風の売りの一つが、JR西が15年まで大阪~札幌間で運行していた寝台列車「トワイライトエクスプレス」の伝統を受け継いだ食堂車「ダイナープレヤデス」だ。 京都の和食「菊乃井」、大阪のレストラン「HAJIME」といった名店が監修した手の込んだ料理を車内で提供。ツアー参加者の半数ずつ(約20人)が同じ空間で食事をする体験は、乗客の一体感を高める重要な要素の一つになっていた。 ところが4月の運行再開に当たっては、感染予防対策を徹底すべく、乗客が滞在する個室で食事をする部屋食スタイルに変更することになった。食堂車の椅子やテーブルは撤去され、食材の盛り付けを行う作業スペースへと様変わり。サービスクルーに配膳の指示を出す支配人の樺山高弘氏は「以前は食堂車で乗客に自ら接客していたが、今では完全に裏方になった」と苦笑する。