イスラム圏の「民主化」はむずかしい(1/3) ムバラク独裁が大衆行動で崩壊し、エジプトは民主化に向かって動きはじめた。しかしその「民主化」は「イスラム化」になってしまうのではないか。そんな懸念があちこちでささやかれている。 その懸念には、実は先例がある。1991年のアルジェリアだ。 ○アルジェリア自由選挙の結果 フランスからの独立闘争をになったFLN(アルジェリア民族解放戦線)は一党独裁制を敷き、短期間で腐敗した。大衆の批判をかわせなくなり、91年12月、初の複数政党制による総選挙が行われた。無制限の自由選挙だった。その結果、第1回投票でFLNは惨敗し、イスラム建国をとなえるFIS(イスラム救国戦線)が8割以上の議席を獲得してしまった。 政権の座を確実にしたFISは、イスラム主義のスローガンを次々に打ち出した。 「議会と憲法は停止する」「すべてはコーランにもとづいておこなわれる」