先日90歳を越えた祖母と話をしていた。私が昔の食べ物でもう一度食べたいものってある?と尋ねると、「ビフテキだねー」と祖母の答えが返ってきた。 「ビフテキ」という名前がビーフステーキの略ではなくビフテックであることは現代ではよく知られた話だ。でもこの場でいちいち語源を言うのもなぁと思っていたら、「ああ、ビーフステーキのことをビフテキと言っているんじゃないよ。ビフテキはビフテキだからねー」。ビフテックという料理のこと?と尋ねると、「それは知らないけれどビーフステーキのつもりで言ってはいないよー」 50年くらい前の本を読むと、ビフテキという料理名は栄養価の高いごちそう的な存在として扱われている。じゃあ50年前の人びとはビーフステーキを意味すると思って、間違って「ビフテキ」を使っていたのだろうか。今の私たちは、そりゃそうだろう皆モノを知らなかったんだ、なんて思っている。私もそう思っていた。でもちょ