被災地に足を踏み入れることなく想像力で紡いだ、この"震災文学"を審査員は高く評価。高橋源一郎氏は「作者は、それがどんなに過酷な体験であったかまるでドキュメンタリーのように詳細に描いていく」と講評した。 AbemaPrimeが独自に調べたところ、『美しい顔』の本文中、遺体安置所の場面で10カ所の表現、遺体の確認方法など7つの設定が『遺体』に類似していた。例えば『美しい顔』には、主人公が母親を探しに訪れた遺体安置所で、壁に貼られていた「遺体リスト」を見る場面がある。 それぞれのリストには番号がつけられていて、その横に名前、身長、体重、所持品、手術跡といったことが書いてある。今現在でわかっている限りの情報だという。 「今日までに見つかっている遺体はこれがすべてです。お母さんと思われる特徴の番号があれば、みんなここに」 彼は小さな紙切れと鉛筆を手渡した。 「あとで実際に目で見て確認していただきます