是枝裕和監督が、また名作を世に放った。『三度目の殺人』は弁護士、被告人、被害者の娘らを取り巻く「法廷を舞台にした心理サスペンス」と銘打たれる、接見室で起こる心理戦が物語をリードする、緊迫感あふれる映画となっている。それは、同時に、真実は二の次で法廷で勝つことを最優先させる弁護士・重盛を演じた福山雅治と、現れるたびに供述も表情もうす気味悪く変える、三隅役の役所広司という百戦錬磨のふたりによる、迫真の演技バトルになっていたりもする。底知れない三隅に惑わされ、涼し気な顔を少しずつゆがめていく重盛――福山と役所――の一挙手一投足は、一瞬たりとも気が抜けない。真実はいつもひとつのはずなのに、人は見たいものを見て、信じたいものを信じる生き物だと、自分への問いかけを禁じ得ない作品を手掛けた是枝監督に、ロングインタビューを敢行した。 ――『三度目の殺人』は是枝監督のオリジナルストーリーです。着想はどこにあ