こうした自然な営みを言語化した「負の性欲」について、「『性欲』などという(汚らわしい)ことばを使うな」という女性からの怒りの申し立ては、逆にいえば「私は性欲や本能などではなく、あくまで社会的正当性や理性に基づいて男性を評価している(望まない男から向けられる性欲は「加害」であり、これを退けるのは当然の権利だ。けっして性欲ではないし、負[BAD]ではない)」と主張するものだ。 こうした反応には「理性は善であり、欲望や感情(この場合は性欲)は悪である」という前提が強く内面化されていることがうかがえる。だが残念ながら、理性は感情と切り離せるものではなく、むしろしばしば瞬時に沸き起こった感情をあとから説明したり、その感情に正当性(「これは私憤ではなく公憤である」などと主張すること)を付与するために援用される。 「ハイスペ」を求める欲望 女性が劣った男性たちを遠ざけようとする「負の性欲」と、それによる