「日本の企業組織には、内在する大きな問題がある」――そう警鐘を鳴らすのは、慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科特別招聘教授の夏野 剛氏だ。夏野氏によれば、日本企業の組織形態は、大きな課題をはらんでいるという。 「高度成長期には、誰がどんな役職についても同じパフォーマンスが得られるよう、個人差をなくして均質な労働力を得るための組織作りが行われました。その最大の問題は、終身雇用制と年功序列制。人にはそれぞれ適性があり、マネジメントに適性のある人もいれば、専門職として力を発揮する人もいる。皆が一様に社長をめざしてポストを駆け上がる年功序列型の組織体制は、きわめて矛盾していると言わざるをえません」 だが、こうした終身雇用・年功序列制もすでに崩壊の兆しを見せている。人口減少が進めば、日本企業は海外からの労働力に頼らざるをえなくなり、日本企業は否応なく多文化主義への宗旨替えを迫られるだろう。