国内製薬2位のアステラス製薬。2018年に就任した安川健司社長(58)は「時間は最も重要な経営資源」と社員に繰り返し訴えている。患者にとっても製薬企業にとっても、一日でも早く新薬を実用化することが利益になるためだ。プロジェクトの遂行にかかる時間を縮めるために必要なリーダーの役割とは。 <<(上)今日の価値は捨ててもいい アステラス社長の危機意識 ボトルネックは先回りしてつぶす――現役時代は臨床試験(治験)の運営を担う開発部門に長く携わりました。 「米国で前立腺肥大症治療薬『ハルナール』の開発を担当した後、今度は過活動ぼうこう治療薬『ベシケア』の開発を任されました。山之内製薬(現アステラス製薬)が初めてグローバルで同時に実施した治験のリーダーです。医薬品の特許は通常治験前に取得するので、いかに治験を早く済ませて発売するかが、長く収益を得るうえで重要になります」 「ベシケアは治験から発売までの