小学校は東京の下町でした。 毎年九月始めには、防災訓練がありました。 関東大震災の教訓ですね。 私の通った小学校のあった町は、下町で住居が建て込んでいたにもかかわらず、奇跡的に焼け残ったと言われていました。当時の駐在さんが、地震の直後に町中を回って、火を消すように言って回り、町の人たちにも消火を優先させたので、大火に巻き込まれずに済んだのだそうです。 という訓話を毎年、防災訓練の後の校庭で、聞かされました。 そのときは、防災頭巾というのを全員被っていないといけない。 これは綿入れの頭巾で、いざという時に、被って頭を保護するもの。 普段は、座布団として椅子に敷いて使います。 冬などはお尻が暖かくて、なかなかの優れものでした。 でもね、夏はちょっと。 特に、九月はまだ夏の名残で、今ほどではないにせよ、暑い。 頭巾の中で、汗びっしょりになって、暑さでクラクラしながら、早く終わらないかなぁ、と思っ