あと10日ほどで今年のノーベル賞が発表される。今年の授賞テーマの最有力候補と目されるのが「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」だ。mRNAワクチンは新型コロナウイルス感染症で初めて実現した。たった1年で完成したように見えるかもしれないが、実は30年に及ぶ開発の歴史がある。「mRNAワクチンは緊急性の高い状況でも速やかに作れる利点がある。しかし、このワクチン自体が急ごしらえの技術だと思った
<「知らないから怖い」ことによって、ワクチン忌避が起こる。正確でフェアな情報を共有するには何ができるのか? 論壇誌「アステイオン」94号「新型コロナウイルスワクチン事情」より> 通常、ワクチン開発には10年かかる 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生から1年以上が経過した。筆者が住むアメリカでの死者数は世界最大で、すでに50万人以上の命が失われている(編集部注:2021年6月現在では60万人を超えている)。 この凄惨な状況の中、アメリカでは人々の予想を上回る早さで安全性と効果の高い新しいワクチンの開発に成功し、3月中旬時点で国民の2割(7000万人以上)が少なくとも1回のワクチン接種を済ませた(編集部注:2021年6月現在では1億7734万人、人口の53.9%が1回目完了)。日本でも医療従事者に対するファイザー・ビオンテック社のmRNAワクチン接種が開始され、1カ月ですでに約
今も世界中で広がっている新型コロナウイルス感染症の終息への決定打となりうる候補の一つとしてワクチンが挙げられます。 そもそもワクチンとは何か、そして新型コロナワクチンの開発状況について紹介します。 そもそもワクチンとは?例えば麻疹(はしか)に罹ると、その人は多くの場合生涯麻疹には罹らなくなります。 これがいわゆる免疫と呼ばれるものですが、ワクチンは感染症に罹ることなく免疫をつけることができます。 ワクチンには、 ・不活化ワクチン:インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン ・生ワクチン:MMR(麻疹・風疹・おたふく)ワクチン、経口ポリオワクチン ・トキソイド:破傷風ワクチン などがあります。 ワクチンによって感染症はどれくらい減ったのか?人類の歴史は感染症との戦いの歴史でもありますが、ワクチンは人類にとって最大の発明の一つであり、ワクチンによって多くの感染症が激減してきました。 天然痘は人類
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