既存の針なし注射器は、バネの力で液体を高圧で発射し、皮膚を貫いて筋肉に薬剤を投与するものなどがあるが、神経を傷つける恐れや、多少の痛みを感じるなどの問題があった。 新開発の針なし注射器は、高速で発射した気泡がはじける力で皮膚に微細な穴を空け、その穴から、試薬をまとった微細な気泡を注入する。気泡のガスは収縮し、試薬だけが患部に届く。穴の直径は4μメートルほどで、細胞へのダメージも少なくて済む。 2012年に開発した「マイクロバブルインジェクションメス」を改良して開発した。マイクロバブルインジェクションメスは、液中で微細な気泡を連続して打ち出し、マイクロレベルの微細な穴を空けると同時に、試薬をまとった気泡を輸送できるメス。メスを覆うガラス製のシェルの位置を前方に突き出すことで細胞と気泡導入部との密着性を向上させ、空気中で使用できるようにした。 薬剤を皮下注射する際に利用できるほか、植物細胞を含
心筋梗塞などで心停止状態になった患者に水素ガスを吸わせると生存率が高まり、脳へのダメージも減らせる可能性があるとする研究成果を慶応大学のグループが発表しました。 この研究を行ったのは、慶応大学の佐野元昭准教授らのグループです。グループでは、水素ガスに体の細胞が死ぬのを抑える働きがあることに注目し、心停止状態に陥ったネズミに蘇生の直後、水素ガスを吸わせる実験を行いました。 その結果、水素ガスを吸わせなかったネズミでは、1週間後の生存率が38%だったのに対し、水素ガスを吸わせたネズミでは71%に上り、脳の神経細胞のダメージも少なかったということです。 救急医療の現場では現在、心停止した患者の体の温度を下げる低体温療法で脳のダメージを防いでますが、水素ガスの吸入は低体温療法に比べ簡単にできるということで、研究グループでは今後、臨床試験でヒトでの効果を確認したいとしています。 佐野准教授は「心臓が
アルツハイマー病につながるたんぱく質「アミロイドベータ」が脳に異常に蓄積しているどうか、血液から判定する方法を発見したと、国立長寿医療研究センター(愛知)などの研究チームが日本学士院発行の11日付の学術誌に発表する。治療薬開発に役立つと考えられるほか、将来はアルツハイマー病発症前の検査に使える可能性もあるという。 同センター研究所の柳沢勝彦副所長、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一島津製作所シニアフェローらが共同で研究を行った。 研究チームは血液中に、脳から流れ出したとみられるアミロイドベータに似たたんぱく質「APP669―711」があることを発見。血中のアミロイドベータの量と比較し、脳へのアミロイドベータ蓄積の有無を判断することに成功した。 患者ら62人の血液を調べ、現在、蓄積の診断に用いられている陽電子放射断層撮影(PET)と比較したところ、92.5%の確率で蓄積を判定できた。
尊厳死について…多くの死を見てきた医療従事者たちのコメントが心を打つと反響 アメリカで脳の末期ガン患者ブリタニー・メイナードさん(29歳)が尊厳死を予告し、自ら命を絶ったニュースに対し、世界中で議論されています。(参照:米 末期がんの女性が安楽死を選択) そう簡単に答えが出る問題ではありませんが、間近で死と向き合っている医療従事者たちは、どう考えているのでしょうか。 海外掲示板に寄せられた、海外の医療や医学に携わる人々の意見をご紹介します。 Photo:The Brittany Maynard Fund ●がんセンターの集中治療室で働いています。 がんを奇跡的に克服したケースや、胸が張り裂けるような最期を多すぎるほど見てきました。そして自分は誰もが「自分の最期のとき」を決める権利があると強く信じています。 まだ若い家族が、命の質をとるか、長さをとるかで苦闘する姿も見てきました。 心に強く残
10月27 日本発のエボラ治療薬となるか〜アビガンの話 カテゴリ:医薬 西アフリカで発生したエボラ出血熱は、一部の国ではすでに鎮圧されつつありますが、いくつかの国では相変わらず猛威を振るっています。最近ではアメリカやヨーロッパにも飛び火し、日本も対岸の火事とは言っていられない情勢になってきました。正直、政治家の皆様におかれてはうちわとかSMバーとかは後回しにし、こっちの対策をしっかり打ってくれよと言いたいところではあります。 そのエボラ治療薬として、日本の薬が脚光を浴びています。富士フイルムの「アビガン」という薬で、もともとは富山化学が開発していた薬剤です。化合物名は「ファビピラビル」、かつてはT-705というコードネームで呼ばれていました。この薬が、恐るべきエボラウイルスに有効ではないかという結果が出つつあるのです。 抗ウイルス剤は、医薬の中でもいまだに最も難しい領域のひとつです。細菌の
西アフリカ、特にシエラレオネで起きているエボラ出血熱のアウトブレイクがなかなか終息せず、世の中がざわざわしていますね。感染が拡大してしまった大きな要因として、都市での発生と言う地理的要因の他、現地の人たちの教育水準や文化的背景、そして政治体制の問題があるのは疑いようもなく、アウトブレイクの終息にはまだまだ時間がかかりそうです。 国際的な注目が集るきっかけとなった一つの出来事に、アメリカ人の感染者が本国にチャーター機で輸送され、病院に収容されたというものがありました。治療に使われているという未承認薬も含めた一連のアメリカの動きは政治力学の発露であることは否めず、諸手を挙げて「アメリカすげぇ」とは言えない状況ですが、どさくさ紛れのごり押しで研究開発が進むのも事実であります。清濁併呑して突き進むアメリカのパワーを思い知らされます。 さて、当ブログは論文紹介ブログですので、アウトブレイクのニュース
By Andy Pixel 河岡義裕氏は、1918年に4000万人の命を奪ったインフルエンザ「スペインかぜ」ウイルスを改造した新型ウイルスの作成者として知られるウイルス学者です。なぜ「ヒトの免疫で対抗できない」と言われるほど危険なウイルスを、世界から批判を受けてまで作る必要があったのかが明かされています。 The 1918 Flu Killed 40 Million People. This Man Is Re-Creating the Virus. - Popular Mechanics http://www.popularmechanics.com/science/health/breakthroughs/the-man-who-could-destroy-the-world-breakthrough-awards-2014 The 1918 Flu Killed 40 Million
群馬大学は8月19日、寄生虫感染によってアトピー性皮膚炎の症状が良くなることを証明し、そのメカニズムを解明したと発表した。 この成果は群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学の石川治 教授、同 天野博雄 講師、同 岸史子 大学院生、同 国際寄生虫病学の鈴江一友 講師らの共同研究によるもので、国際雑誌「Allergy」に掲載された。 アトピー性皮膚炎の原因として、皮膚のバリア機能異常やストレスの関与などさまざまな原因が推測されているが、不明な点が多い。一方、アトピー性皮膚炎の発症は先進国で多く、発展途上国で少ないことがわかっており、この違いについては寄生虫感染がその原因の1つと考えられている。 今回の研究では、湿疹を発症するマウスに寄生虫(マラリア)を感染させ、経過を観察したところ、マラリアの感染症状が進むにつれ、アトピー性皮膚炎の症状が改善されたことが確認された。 さらに、湿疹のある皮膚と湿疹が
万が一のその時、私たちのできることはなんだろう。 ↓の続編のようなものです。 「感染症よもやま話 エボラとかインフルエンザとか」http://togetter.com/li/698398
睡眠不足は身体に様々な悪影響を及ぼすことは知られていたが、どうやら記憶すら書き換えられてしまうこともあるそうだ。米カリフォルニア大学の研究チームが行った最新の研究によると、睡眠不足によって、偽の記憶が作り出される傾向が高くなるという。 心理学者のスティーヴン・J・フレンダ氏率いる研究チームは、睡眠時間5時間以下の被験者と睡眠が8時間前後の被験者に盗みなど”犯罪”が行われている写真を見てもらってから、その写真について書かれた誤った情報を読んでもらった。その結果、睡眠不足の人たちは、睡眠が足りている人たちよりも、詳かい部分の記憶が間違っていることが多かったという。覚えていないというわけではなく偽の記憶に書き換わっているのだ。 この結果から、睡眠不足により認識機能が妨げられると言えるが、睡眠と記憶の間にはギャップがある。よく眠れなかったときはたいてい、知覚や記憶がぼんやりと曖昧になることが多いが
中国のチベット(Tibet)自治区ラサ(Lhasa)近郊の山岳地域で撮影のチベット人の親子(2003年8月24日撮影)。(c)AFP/GOH CHAI HIN 【7月3日 AFP】チベット人が高地で暮らすことができるのは、現在は絶滅した謎の人類系統から受け継いだ特殊な遺伝子のおかげだとする研究論文が、2日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。 中国、チベット、米国の国際研究チームによると、現在のチベット人の祖先は、血液中の酸素量を調整する重要な遺伝子変異を、デニソワ人(Denisovans)と呼ばれる人類種と交配した際に獲得したという。 ネアンデルタール人と同時代に生きていたデニソワ人の存在が明らかになったのは、わずか4年前のことだ。デニソワ人もネアンデルタール人と同様に、解剖学的現代人の現生人類(ホモサピエンス)によって絶滅に追い込まれた可能性がある。 デニソワ人の存在は、ロ
エボラ出血熱の発生地 (1976年- 現在) エボラ出血熱(エボラしゅっけつねつ、Ebola hemorrhagic fever[† 1][† 2]; EHF)、またはエボラウイルス病(エボラウイルスびょう、Ebola virus disease; EVD)は、フィロウイルス科エボラウイルス属のウイルスを病原体とする急性ウイルス性感染症。マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱、クリミア・コンゴ出血熱と並ぶ、ウイルス性出血熱の1つだが、感染者が必ずしも出血症状を呈するわけではないため、国際的には呼称がエボラ出血熱からエボラウイルス病へ切り替わりつつある[1][2]。主にアフリカで発生する。 ヒトに感染し、治療開始が遅れると致死率は80 - 90%に上る(ウイルスによって異なる)[3]。また、仮に救命できたとしても重篤な後遺症を残すことがあり、リスクグループレベル4ウイルスの一つである。一方、毒
腕などで透けて見える人間の静脈は実は灰色で、青色に見えるのは錯視──立命館大の北岡明佳教授(知覚心理学)がこんな事実を明らかにした。「『青筋をたてて怒る』は、正確には『灰筋を立てて怒る』になりますね」とのこと。 色彩の心理学では、周囲の色との対比によって異なる色に錯覚して見える現象(「色相対比」など)が知られている。北岡教授は、灰色と肌色が混在した絵をネットで見ている際、灰色が青色に見えることに気付き、「人間の静脈も同じ原理で青色に見えているのでは」と検証を試みた。 腕と脚を写真に撮り、画像処理ソフトで検証したところ、静脈の部分はRGBの数値上は黄色がかった灰色の値を示した。人間の静脈は、周囲の肌の色と静脈の部分の灰色の色の対比により、「目の錯覚や脳での信号の処理が複合的に生じ、青色と認識してしまう」のだという。 画像にモノクロ処理を加えると、灰色の静脈だけをくっきりと浮かびあがらせること
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